ちぎれた翼

8（マサside） ページ8

ヒロの言う「クロスの件」とは、まだヒロが大天使でこの天界に彼女がいた時の頃。



俺たち天使は必ず「クロス」を持たなければならない。
父が決めたことは絶対だからな。



だが、彼女だけはクロスを持っていなかった。
理由は瞳の色にあった。



例えば、俺は青だがヒロは紫。
彼女もまた違う色の瞳をしていた。
その色は『ブラウン』。



俺たち天使の持つクロスには中心に自分と同じ瞳の色をする小さな宝石が埋め込まれている。



しかし、彼女の瞳の色と同じクロスは天界には存在していないのだ。
本来は天界に必ずあるはずなのだ。



だから、彼女は天使ではないんじゃないかと疑われていた。
俺自身は、彼女は間違いなく天使だと俺は確信できることがあった。
俺は訳あってクロスを2つ持っていたから、それを彼女に渡した。



しかし、この行為がほかの天使達に知れ渡ったってしまった。
そんなとき俺を庇ったのが、ヒロだった。



ヒロは「彼女の瞳の色と同じクロスがないのなら、マサが行ったことは正しいはず。『天界にいるものは必ずクロスを持たねばならない』そうだよね？みんな。」



ヒロの言葉にみんな納得をしていった。
ヒロは元々、多くの天使から慕われていた。
その上、ランクは大天使。
その言葉の重みは充分な重みがあった。



マサ「ヒロ、ありがとな。」


ヒロ「これくらいは当たり前だからね。」

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