ちぎれた翼

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ヒロ「まぁ、父上にも何かお考えがあるんだよきっと。」



マサ「考えね〜」



ヒロ「マサ？クロスが…」



マサ「あ？」



ヒロ「僕には光っているように見えるんだけど？」



マサ「あ？光ってねぇよ？って、お前まだ大天使の目なんだっけ？」




『大天使の目』とは、普通の天使では認識できないような小さな光の粒子を見ることができたり、相手が何を考えているのか、また次に何をしようとしているのかを見ることができる目のことである。




ヒロ「まぁ、僕はいらないって言ったんだけどね。父上が残してくださったから…」



マサ「このクロスが光って見えるってことは…」



ヒロ「近くにいるのかもね。」



マサ「あぁ。」



ヒロ「でも、いきなりだね。」



マサ「あぁ。人間界への視察のために舞い降りた瞬間だ。」




人間界への視察。
これはある程度経験のある天使が行う公務のこと。
まぁ、平たく言うと人間がどんな不満を持っているのか。
神をどう思っているのかを知るため。




ヒロ「ってことは彼女は人間…？」



マサ「ってことになっちまうよな…」



ヒロ「また厄介なことになってきた…」



マサ「あぁ…」



ヒロ「『掟』は守らなければならない。父上に背いてはならない。」



マサ「…。わかってる。」



ヒロ「だけど、僕はマサの気持ちを知ってるから正直複雑なんだ。」



マサ「わりぃーな、ヒロ。お前に迷惑かけて。」



ヒロ「そのクロスの件以来だからね(笑)」



マサ「だな(笑)」

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