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目が見えないとは不便なもので、階段に躓いたりペンを探して机をばんばん叩くことになったりする。時間がきちんと進んでいることを確認しに事務所へ赴いたはいいけれど早々にサーシャの……葛葉の手を借りることになってしまった。
「危ないですねえ凛さん？」
「耳が痛いですねえ葛葉さん」
「叶がシャロン連れて来てるってよ」
「え？どこに？」
腰の曲がった老婆のようにへっぴり腰で歩く私の耳に聞きなれた声が届いた。
「ロンちゃんはいつ帰るの？」
「もうそろそろだと思います」
「行き来できる？」
「できます！……多分」
「またパンケーキ食べにいこうよ」
「行きます！！」
曲がり角の向こうから叶とシャロンの声がする。生クリーム増し増しのパンケーキの写真が送られてきた昨日を思い出した。見るだけで胃もたれしそうな……
「あっ、父う……」
「……もう帰れるか？」
「開口一番それはないでしょ、もう」
「ギクシャクしてんなあ」
まだ思春期でもないのに、と叶とツッコむと葛葉は気まずそうに目を逸らした……ような気がした。本当は帰ってほしくないくせに、天邪鬼か。一方シャロンはこの一件で打ち解けた叶に次の約束を取り付けている。最後にシャロンの顔を見れないのが残念だが本当に最期なわけでもない。声が聞けただけでもいいとしようか。
「シャロン。またね」
「強くなって待ってます」
「当主の仕事も大変だろうけど、わからないことがあったら義父様に聞いて」
「はい！父上もちゃんと食べてください！」
「立派になったな……」
「ジジくさいこと言わないでくださいよ」
「ジジイではねえから」
んじゃ、ゲート開くか。
葛葉は軽く手を開いて廊下の真ん中にゲートを開けた。
「かなかな、今度はお土産持ってきます！」
「楽しみにしとくね〜」
ひゅんっと風を切る音を残してシャロンが帰っていく。ゲートが閉じた後、ぽつりと叶が呟いた。
「かわいいなロンちゃん」
「……まだ早い」
「お前めんどくせー父親になるよ絶対」
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houkouonchi13(プロフ) - 新生活頑張って下さい！！更新も無理なさらないでくださいね…！！！！楽しみにしてます！ (2021年4月14日 1時) (
レス) id: 2b5068bd37 (このIDを非表示/違反報告)
konayuki2222222(プロフ) - 続編おめでとうございます！やっぱり最高です！ (2021年3月10日 21時) (レス) id: f927dca413 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかん | 作成日時：2021年3月9日 9時
