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「罠にかかる貴方方が愚かなのですよ」
「……っざけんな、お前ッ！！」
「今だって私の結界に踏み込んできた。蜘蛛の糸にかかる蛾のようですね」
両目を抉り抜かれたラーシャの身体が地面に放られる。もう意識もない。呼吸も浅い。近づく死の匂いに背筋が粟立ち、剣を抜いた手は情けなく震えていた。
息が詰まるほど重たい曇天。外と隔離するように張られた半円型の結界はとても一撃では破ることはできないだろう。父上なら叩き割れるかもしれない。
「弱点は誰にでも存在します。貴方の場合は彼女でしょうね」
一歩踏み出す、次いで、瞬き。
その間に眼前に迫っていたナイフを半身でかわし、逆袈裟に斬る。左肩を狙ってきた拳は受け流したが本命の膝蹴りが鳩尾に入った。
「カハッ」
今の一撃で胃が揺さぶられる。喉をせり上がってきた血液を吐き捨てて斬りかかった。
左腕を折られた。
右目を斬られた。
足を潰された。
動けなくなった。
ラーシャ。お前は走馬灯を見たことがあるか？
モンブラン、ごめんな。
みっともないやつで申し訳ない。だけど、シャロンならいい当主になるだろう。だって父上と母上が養い親で、ああ……これが走馬灯か。
せめてラーシャに血を分けてやりたかった。痛みは消えるはずだ。きっと安らかに、眠れる、はずで……
「……らー、しゃ…………」
「……しゃ、さー……、ラグーザ！！」
落ちかけた意識が一気に鮮明になる。水たまりにインクを落としたように広がっていく視界に映ったのは誰よりも大きな、父の背中。遅れて降ってきた血の雨に盛大に噎せる。
「何へばってるんだ！さっさとやれ！」
「でもソイツきんせ……っ、くそ」
「近接戦が不利なら銃を構えろ」
お前の相棒とやらの方がうまいか。
雑な血液補給と俺を煽るその言葉とは裏腹に、彼の横顔にも焦りが滲んでいる。ラーシャを一瞥して歯噛みした。
「サーシャ、立て。殺るぞ」
「……ああ」
肺も潰されかけて声がうまくでないが何とか立てる。呼吸も、まだ。
「……殺る」
足元に転がっていたラーシャの拳銃を拾い上げた。六発装填式のリボルバー。二人で攻めてハンターの視線を分散させつつ、隙があればなるべく近くでぶちこむ。
「腹に風穴空けてやらァッ！」
ろくに力の入らない脚を叱咤して地面を蹴った。父上が先を行く。小さな結界を張りながらだったがそれもすぐに壊され、俺を庇う彼は全身に切り傷を作った。
それでも俺たちはハンターと距離を詰めて、詰めて。
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houkouonchi13(プロフ) - 新生活頑張って下さい！！更新も無理なさらないでくださいね…！！！！楽しみにしてます！ (2021年4月14日 1時) (
レス) id: 2b5068bd37 (このIDを非表示/違反報告)
konayuki2222222(プロフ) - 続編おめでとうございます！やっぱり最高です！ (2021年3月10日 21時) (レス) id: f927dca413 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかん | 作成日時：2021年3月9日 9時
