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「明日は新月、か」
結局昼寝はしなかった。日が落ち、薄暗くなった室内をじっと見渡す。最後に、隣で眠るラーシャを目をやるとその長いまつ毛がふるりと震えた。
「お前は何食べる？」
「……ん」
前髪を乱雑にかき混ぜると眉をひそめて身じろいだ。先程から胸騒ぎが止まらない。もしかしたら最後の晩餐さえも食えないのかもしれない。シャロンにもうひとこと言っておけばよかったと今更ながらの後悔と不安が浮かんだ。
「サー、シャ……？」
「んー？」
「私、ね……サーシャ、と──」
ドゴン。
「……っ、まずい」
重たい音。鉄の扉が閉められたような、腹の底まで響いた音にラーシャは瞬時に身体を起こした。目を合わせ頷き、正装に着替える。
「【裏のセカイ】に切り替わったか」
「おそらくね。襲撃を受けたのかもしれない」
「この後俺らはどう動く？」
「……魔界にいると思われるボスを叩く」
窓を開けはなったとき、シーツの上に放置していたスマホが激しく震えた。見慣れた相棒の名に取らずにはいられなくて、スピーカーモードにして応答ボタンをタップした。
［葛葉ッ！！］
「どうした叶！」
［急に変な音がしたと思ったら辺り一体更地になったんだけど、一軒の建物がある。多分これが……］
「黛がプログラミングしたっていうのだろ」
［全身黒ずくめの人型の何かがいる……！］
「そっちで対応できそうか！？」
「葛葉がそっちに行くから！」
「はあ！？ラーシャ！？」
ぶちっと通話を切ったラーシャはその青い瞳を鋭く細めていた。
「私が魔界の方の偵察をしておく。サーシャはあっちをバックアップして」
「もし俺をやったハンターがそっちにいたらどうするんだよっ」
「大丈夫、そんなにやわじゃない」
こうなったラーシャはテコでも動かない。わかりきっている。だとしたら、俺が言うことは一つだった。
「まだ晩メシ食べてねーからな、後で食うぞ」
「モンブランがいいな」
「いいねえ」
取るに足らない約束だ。
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houkouonchi13(プロフ) - 新生活頑張って下さい！！更新も無理なさらないでくださいね…！！！！楽しみにしてます！ (2021年4月14日 1時) (
レス) id: 2b5068bd37 (このIDを非表示/違反報告)
konayuki2222222(プロフ) - 続編おめでとうございます！やっぱり最高です！ (2021年3月10日 21時) (レス) id: f927dca413 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかん | 作成日時：2021年3月9日 9時
