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「…サーシャが優しいのは、わかってる」
「うん」
「お義父様たちがこっちを望んでるのも、わかってる」
「うん」
「…吸血鬼は発達が早い、から仕事に早く復帰できるのも、わかってる」
ラーシャは絞り出すように胸の内を語った。
「…けど、怖い…っ、」
「…うん、」
「……っ、サーシャは？」
「…俺？」
俺は怖くない…って、そんなこと聞いてるわけじゃないよな。
この答えでラーシャがどっちを選ぶか、決まる。
「……俺はおまえの意見を尊重するよ」
「…痛い、？」
「最初はそうかもしれん」
「……動かないのはナシって、言われた…」
「それは違うな。委ねてくれたらそれでいい」
「ゆだ、ねる…？」
「そう。何も気にしないでいい」
ラーシャは目を伏せた。頬に一筋の涙が伝う。そして数秒後──
「気が変わらないうちに」
まだ怯えの色が残るが、しっかりとした決意を湛えた瞳で俺を見据えた。
「……無理してない？」
「…サーシャだから」
答えになってねえぞ、というのは飲み込んで、俺はラーシャの背中と膝裏に腕を回して持ち上げた。
「…怖かったら言って」
「……うん」
向かう先は寝室。近づくにつれてラーシャの身体は強ばっていく。俺だってこんな無理やりみたいな感じでやりたくないけど、しょうがない。
今できることはできるだけラーシャの不安を取り除くこと。
ラーシャをそっとベッドの上に下ろし、俺はその上に跨った。
「…いや、威圧感やばいな」
これでは恐怖を煽ってしまうのでラーシャに座ってもらい、彼女を後ろから抱き込む体勢になる。
「後で体勢は変わるけどとりあえずこれで。嫌だったらすぐ言えよ」
こくりと頷いたのを確認して、大きく深呼吸。
気持ちの昂りを抑え、部屋の電気を消した。
〇
「こっちで四日休み取って魔界に行けばもう出産後じゃん」
「まだ授かったかわからないけどね。気が早いよ」
「ブタがほぼ確実って言ってただろ」
「ほぼだから」
翌朝、シワだらけのシーツの上に寝転がっている男女二名。私とサーシャだ。
「田角社長に里帰りしてきますって言お」
「直接会う？」
「いや、授かってる間は人間擬態ができないからチャットで」
「そ、」
正直腰を痛めるかと思ったがそうでもなかった。多分サーシャが優しかったんだと思う。何度も声をかけてくれて心配してくれていたから。
「俺もちょいちょいそっち行くわ〜」
「長居しすぎないようにね」
「一日いても十五分経ってねえから大丈夫」
そう言ってサーシャは大きな欠伸をした。
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houkouonchi13(プロフ) - 新生活頑張って下さい！！更新も無理なさらないでくださいね…！！！！楽しみにしてます！ (2021年4月14日 1時) (
レス) id: 2b5068bd37 (このIDを非表示/違反報告)
konayuki2222222(プロフ) - 続編おめでとうございます！やっぱり最高です！ (2021年3月10日 21時) (レス) id: f927dca413 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかん | 作成日時：2021年3月9日 9時
