･ ページ21
「なに？ヤキモチってこと？」
「わかってるなら聞くなよ…」
血を手の甲で拭いながらやっと身体を離したサーシャは頬を赤く染めてボソッと呟いた。
「ふうん」
「ニヤニヤすんな。気持ちわりぃ」
ニヤニヤが止まらない。やっぱりサーシャはツンデレな気がする。
「はあ……んで、おまえ飲むんだろ」
わざとらしいため息をつきながら、シャツの襟を横にずらしたサーシャはちらりと視線を私に向けた。それに私は待ってましたと言わんばかりに思い切り牙を突き立てた。
「いった！自重しろよおまえ！」
さっきの仕返しだよ、と心の中で言って彼の血を吸う。甘くて、どんなスイーツよりもおいしい甘美な血。
「…ふう」
飲み終わって、唇についている血をぺろりと舐めとるとサーシャは襟を直しながらなんでもないように言った。
「そういえば、母様が子供はどうするの？って」
「…………」
……。
「…子供はどうするの？って言ってたって言ってんだけど」
「…そ、うだよね……」
お義父様とお義母様は私たちの間に産まれた子供はウィントの名を名乗らせていいと言ってくださった。でも子供なんて１ミリも考えてなかった…
「俺もおまえも生みの親と養い親はいるから、っていうか貴族はそうなってるから仕事にも支障は出ないと思うけど」
子供を産んでも育てる養い親は別にいるからそこまで心配しなくていい、と言うのだろうか。確かにそうだけど…
「…でも、少なからずそういうコトはしないといけないから、おまえが嫌なら養子をとるっていう選択肢もある」
サーシャの話を聞いていると知らない間に身体が震えていた。頭を巡るのは過去の記憶で──…
──ヴァンパイアハンターとヴァンパイアの子供ってなんか面白くないですか？
──大丈夫ですよ、痛くしませんから。
──あ、そうだ。自分で動かないのはナシですよ。
──チッ、邪魔が入った
「ラーシャ？」
「……な、なんでもない。考えとく。じゃあね」
肩に触れたサーシャはの手を振り払って私は追われるように彼の家をあとにした。
最近は日常に酔っていたのかもしれない。やることはたくさんある。
日常は確かに幸せだけど、毎日何かしら少しずつ変化して、因果の歯車は回っている。
わかっているだろう、初めから。
──いつまでも逃げてばかりではいられないと。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 244人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
houkouonchi13(プロフ) - 新生活頑張って下さい！！更新も無理なさらないでくださいね…！！！！楽しみにしてます！ (2021年4月14日 1時) (
レス) id: 2b5068bd37 (このIDを非表示/違反報告)
konayuki2222222(プロフ) - 続編おめでとうございます！やっぱり最高です！ (2021年3月10日 21時) (レス) id: f927dca413 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みかん | 作成日時：2021年3月9日 9時
