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「──もういい…ラーシャ」
地面に座りこんだサーシャに駆け寄り、その身体を支えた。
「…目ぇ覚ませ。おまえは…殺すことをあれだけ嫌ってたじゃねえかよ…」
私の肩に頭を預けたサーシャは、荒い呼吸のなか、言葉を紡ぐ。
「……今まで、ハンターが来たときも…ボコボコにするだけで殺しは、しなかった…」
枯葉を乗せた風が広場を吹き抜けていく。サーシャは私の頬に手を伸ばした。
「…おまえは優しいから…そのままでいてほしかった…本当はリッパーも…俺が殺せばよかった……」
「…優しくない。思っているほど善人ではない。…殺したいから、殺した」
「違う。ずっと震えてただろ…わかってんだよ」
そっと、親指で目の縁をなぞられた。私の噛み締めた唇から伝って落ちていった血が、サーシャの口に入る。
「…ごめんな。怖かった…だろ…ごめん…」
「……早く回復に入りなよ。早く、サーシャ…ｯ、」
「…おまえにこんな思い…させたくなかったのに…守りたかったのに……ごめん…な…」
そう言ってサーシャは目を伏せた。ぱたりと腕が落ちて、身体が脱力した。
気絶して、自己修復に入ったんだろう。
早く家に連れて帰って輸血をしなければ。
「……っ、」
それなのに脚が動かなかった。震えて立てなかった。
「…しっかりしろよ…！」
私は吸血鬼だ。こんなことに、こんなことに…ｯ！！
「っう、ぅ…っ、」
頬に涙が伝っていく。
過去には戻れないのに。戻りたいと思ってしまう。
この先何百年生きても私は、今日このことを忘れることはできないだろう。脳に焼き付いて、忘れさせてくれないだろう。
「……っ、く…」
こんな自分が大嫌いだ。嫌いだ、大嫌い、殺してしまいたい。
けれどそれは許されない。
やるせない気持ちをぶつける場所もなく、ただ私は、しばらく風に吹かれていた。
☽.*·̩͙
短編なのに長くなってますごめんなさい…
もうすぐで終わると思いますので…
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houkouonchi13(プロフ) - 新生活頑張って下さい！！更新も無理なさらないでくださいね…！！！！楽しみにしてます！ (2021年4月14日 1時) (
レス) id: 2b5068bd37 (このIDを非表示/違反報告)
konayuki2222222(プロフ) - 続編おめでとうございます！やっぱり最高です！ (2021年3月10日 21時) (レス) id: f927dca413 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかん | 作成日時：2021年3月9日 9時
