弱い姿 ページ2
式をあげて、魔界から戻ってきた。
葛葉の家にゲートを繋いだので、早くお暇しようと思って玄関まで滑るように移動して──
「どこ行くんだ」
「えﾞ、」
腕を引っ張られて身体が傾く。その勢いで後ろを振り返るとすぐそこに葛葉の顔があった。
「…いや、帰ろうと」
「なんで」
「なんでって配信もあるんでしょ」
「腹減った」
いやさっき豪華な料理食べてたじゃん？
私のもあげたし、おなかいっぱいとか言ってたじゃん？
「嘘つけ」
そう言うと彼は頬を赤く染めて顔を背けた。そしてボソッと無愛想な声が。
「…まだ一緒にいたい」
その言葉ににやりと唇がつりあがる。
「素直だね今日は」
「っるせえラーシャ！」
「あっ」
ぶんっと手を振り払われ、宙ぶらりんになった左手。しかしそれよりも気になったことがあった。
「こっちでは凛って呼んでよ」
「別にいいじゃん」
「しかも私はサーシャと結婚したのであって、葛葉とではないから、」
そう言った瞬間、周りの空気が急激に冷え、葛葉の纏う気配も変わった。
「…く、くず、は？」
冷や汗をかきはじめたうなじ。ごくりと鳴った喉に彼の手が添えられる。このまま絞め殺されるんじゃないかという考えが浮かんできた。
「じゃあオフのときは、プライベートのときはサーシャじゃないっていうのか」
「…え？」
「配信してるときはそりゃ葛葉だけど、配信してないときはどうなるのかって聞いてんの」
喉に添えられた手がするりと動いて首筋に当たる。
服のボタンを反対の手で外され、胸元が冷たい空気に当たって肩が跳ねた。
「…………っ、」
「早く答えないとどうなるか……おまえの弱いところ知ってんだぞ」
赤い目を細めて、口からちらりと牙を覗かせた彼に私は強がってみせた。
「わからないよ。見せてないから。誰にもわからない」
挑発するような視線を送ると葛葉はふーん、とこぼす。
「腕離したらもう立てないくせに。腰抜けてんのバレてるから」
「…わっ」
パッと両手を離した葛葉は悪い笑みを浮かべていた。私は床にへたりこんで、荒い呼吸をくりかえす。いつからコイツはこんなに大人びた…？昔は泣き虫だったくせに、いつからこんなこと…
床に手をついたまま彼を見上げる。余裕そうな笑みに腹たってきた。
「昔は泣き虫だったのに、とか思ってる？」
「はあ？」
そう返したものの図星だ。ズバリ当てられている。
「おまえはなかなか泣かないよな。しかも甘えるのも下手」
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houkouonchi13(プロフ) - 新生活頑張って下さい！！更新も無理なさらないでくださいね…！！！！楽しみにしてます！ (2021年4月14日 1時) (
レス) id: 2b5068bd37 (このIDを非表示/違反報告)
konayuki2222222(プロフ) - 続編おめでとうございます！やっぱり最高です！ (2021年3月10日 21時) (レス) id: f927dca413 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかん | 作成日時：2021年3月9日 9時
