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「──血液だよ。血液を魔力に転換する。…ゲートを開けるにはその魔力じゃ足りない。おまえ、死ぬ気か？」
そう言うとラーシャは泣きそうな顔でほほえんだ。
「いいんだよ。忘れるから」
「俺は忘れねえ。忘れられねえ」
「サーシャ、」
「話があるって、言ったよな」
揺れるラーシャの目を見つめると彼女は参ったようにためいきをついた。
「……じゃあなに？賭けるの？」
「生きる未来しか見えねーけど！」
「…サーシャらしい」
ふっと笑ったラーシャは俺の背中に手を回した。俺も彼女の細い身体に腕を回し、そして同時に、
「っ、」
お互いの首筋に噛みついた。
〇
「魔力足りるかな」
「足らすんだよ」
自信なさげに右手をぷらぷら揺らすラーシャの肩をぽんと叩いた。お互いの血を補給して少し魔力が回復したので、二人ならゲートを生きたまま開けられるかもしれない。
「もし足りなかったら私の血を使うから」
「どうかな」
「だめだよ。貴方は【表のセカイ】でも活動を続けないと。葛葉として、ChroNoiRもあるでしょ」
素っ気なく言ったラーシャに言い返そうとして、唇が震えた。
「サーシャ？」
「……ダメ、」
魔力が徐々に集まってきて、目の前の空間に穴が開く。これを人が通れる程の大きさまで拡げないといけない。
「ダメじゃなくて。貴方が結ぶ糸は叶と結ぶの」
その言葉の意味を理解したとき、俺はラーシャの顔を無理矢理こちらに向けさせた。少しくすんだ瑠璃色と目が合う。
「もう我慢できなさそうだから今言っていい？」
穴が少し拡がった。
さらに魔力を篭める。
「……私は何も間違ったことは──」
「盛大に間違ってるよバカ」
確かにアイツのこと、おもしれぇ奴とは思ってるけど。
「相方なのは、ChroNoiRなのは“葛葉”の話だろ。今おまえと話してるのは誰だ？」
「………………」
穴から風が吹いてきて、お互いの髪を踊らせる。
無言のまま顔を逸らしたラーシャに苦笑して、風に負けないように声を張って言った。
「ラグーザ家当主、アレクサンドル・ラグーザより──」
穴がやっと目標の大きさになりそうなところまで来た。
吹いてくる風を飲み込むように、大きく息を吸った。
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みかん(プロフ) - konayuki2222222さん» ありがとうございます！；； (2021年3月9日 13時) (
レス) id: 644a994c78 (このIDを非表示/違反報告)
konayuki2222222(プロフ) - とてもいいおはなしです！！最高です！(*｀ω´)b (2021年3月8日 23時) (レス) id: f927dca413 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 伊織さん» わあああコメントありがとうございます！！；；完結したら続編書こうと思います。リクエスト募集するつもりなのでよかったらお願いします〜 (2021年3月7日 23時) (レス) id: 644a994c78 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 続編希望です！応援しています！！頑張ってください！！ (2021年3月7日 20時) (レス) id: d1ffabcbb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかん | 作成日時：2021年3月5日 7時
