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想い ページ30

綺麗な細工がされた扉を開けて中に入る。そのまま静かに部屋の中央に歩いていき、目の前のソファに並んで座っている二人の吸血鬼に膝をついた。
「ローレラット・ウィントより、ラグーザご夫妻にご挨拶を」
「顔を上げて」
「…失礼します」
心地よい鈴の音のような声が響く。
「久しぶりね、ラーシャ」
「元気にしてたか?」
次に低いテノールの声がして私はゆっくり頷いた。
「そちらのことは聞いた。ラグーザ家も全面協力することにしよう」
「魔力が安定するまではこちらにいるといいわ。部屋を用意するから泊まっていきなさい」
「ありがとうございます」
頭を下げ、上げる瞬間、目眩がしてふらついてしまう。よろめいて脚が縺れ、身体が傾いたところをサーシャが支えてくれた。
「ご、ごめん…」
「優れないようね。血を補給して少し休みなさい。ディナーは部屋に運ぶわ」
「向こうに来たときに香水がキツいのがいて、それが相当きたみたい」
「本当か、サーシャ」
私を支えたままそのように報告したサーシャに驚く。気づいてたんだ…
「それにラーシャって愛称で呼ぶから…」
「注意しておこう。ラーシャ、すまないな」
「い、いえ…」
再び頭を下げる。
「……行くぞ」
サーシャに誘導され、部屋の出入口まで来た。部屋を出る際、ご尊父様が言った。
「レイは元気だ」
それに私はもういちど深く頭を下げたのだった。



「…俺の部屋なのな」
「……まあ、」
私が泊まることになった部屋はサーシャの部屋だった。
「……いいの?逆に」
「俺は構わないけど」
マントを外し、ジャケットを脱ぎ、シャツ1枚の楽な格好になったサーシャ。それを見て私もローブとジャケットを脱いでシャツと下はスカートという格好になる。
「血、飲む?」
ソファに腰かけたサーシャが自分の隣をポンポン、と叩いて言った。私は無言で頷いて彼の隣に座る。
「ん、」
シャツのボタンを外して、首筋を晒したサーシャは私の髪を撫でた。とてもとても優しい手つきで。
「飲んでる途中声だしていいから、何も気にすんな」
「……サーシャ…、」
「…………はあ、」
か細く息を吐いたサーシャを疑問に思いながらも彼の首筋に噛みついた。

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みかん(プロフ) - konayuki2222222さん» ありがとうございます!;; (2021年3月9日 13時) (レス) id: 644a994c78 (このIDを非表示/違反報告)
konayuki2222222(プロフ) - とてもいいおはなしです!!最高です!(*`ω´)b (2021年3月8日 23時) (レス) id: f927dca413 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 伊織さん» わあああコメントありがとうございます!!;;完結したら続編書こうと思います。リクエスト募集するつもりなのでよかったらお願いします〜 (2021年3月7日 23時) (レス) id: 644a994c78 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 続編希望です!応援しています!!頑張ってください!! (2021年3月7日 20時) (レス) id: d1ffabcbb6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みかん | 作成日時:2021年3月5日 7時

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