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「ん、っ…ぅ……」
夢中で俺の血を啜っているラーシャの背中は熱をもっていた。俺の背中に回る手にも力が入っていて、爪をたてられているのが服越しに伝わってくる。
「…ラーシャ、そろそろ」
彼女の背中をとんとんと叩いて促すとやっと口が離れた。口元についた血まで丁寧に舐めたラーシャの瞳はまるでサファイアのように爛々と輝いている。
「おいしかった？」
「うん、ありがとう」
蕩けるような笑みを浮かべたラーシャは服のボタンを外して襟をずらす。現れた白い首筋を見てごくりと喉が鳴った。
「いいよ、サー──」
「いただきますっ」
サーシャ、と言い切る前に彼女の首筋に牙を突き立てた俺。ラーシャは一瞬身体を震わせたものの、すぐに俺の背中に腕を回してとんとん、と血を飲むペースを抑制してくれたのだった。
〇
「…さーしゃぁ…」
帰りたくない、と寂しげに呟いたラーシャを家に泊めることにした。
「ち…ち……」
「血ぃ？飲んだだろもう」
さっきから幼児化したみたいに駄々をこねるラーシャは今まで何百年単位で一緒に生きてきたなかで初めて見る姿だった。
「…おまえんち、使用人さん元気？」
「…レイさん…元気だよ」
ウィント家の吸血鬼はラーシャだけ。両親はラーシャが幼いうちにヴァンパイアハンターに殺されてしまった。幼い身で天涯孤独となったラーシャをラグーザ家も支えてはいたが、どうしても手が回らないときもあるということで使用人の吸血鬼をひとり、雇った。
母さんは母親替わりになればいいと女の吸血鬼をラーシャにつけたがやはり違ったのだろう。親の愛情を知らぬまま育ってきたラーシャと再会したとき、アイツの目は氷のように冷たかった。
だから俺はいつからか、コイツが甘えられるような関係になりたいと思っていた。幼なじみで、俺たちだけの絆が確かにある。だけどただ、幼なじみじゃなくて、コイツの心が安らぐような居場所になってやりたいと思っていた。
「ラーシャ、」
「ん？」
俺のベッドの上でごろごろしているラーシャの傍に座った。お互い本来の姿のまま寝ようとしている。
「…恋人じゃない奴とキスできる？」
「…え？」
リラックスタイムの彼女に爆弾質問をした俺は「あ、やったな」と思う。だってすげえびっくりされてるもん。
「……親しい人なら、まあ」
嫌じゃない、と口をもごもごさせながらこぼしたラーシャの返事を俺は肯定と受け取った。
☆*°
文字数の関係上、キリが悪いですが次に
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みかん(プロフ) - konayuki2222222さん» ありがとうございます！；； (2021年3月9日 13時) (
レス) id: 644a994c78 (このIDを非表示/違反報告)
konayuki2222222(プロフ) - とてもいいおはなしです！！最高です！(*｀ω´)b (2021年3月8日 23時) (レス) id: f927dca413 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 伊織さん» わあああコメントありがとうございます！！；；完結したら続編書こうと思います。リクエスト募集するつもりなのでよかったらお願いします〜 (2021年3月7日 23時) (レス) id: 644a994c78 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 続編希望です！応援しています！！頑張ってください！！ (2021年3月7日 20時) (レス) id: d1ffabcbb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかん | 作成日時：2021年3月5日 7時
