痛み ページ2
少し事務所に用があったので朝早くにいちから社を訪れた。まだ社員さんも誰も出社していない。静寂と暗闇が不気味さを醸し出していて、早くここを出ようと早歩きで廊下を通過したとき──
「わっ」「あっ」
誰かとぶつかった。
────え？
ぶつかった…？
「す、すみません…」
謝罪の声が聞こえてきたがひょっとしたら今僕は幽霊とぶつかったんじゃないか。半分本気でそう思って視線を上げると
「り、凜さん！？」
統括の凜さんがいた。
「叶くん、」
驚いた表情を浮かべている彼女だが、顔色が悪い。疲れた感じで、多分きちんと寝れてないんだろうなと予測する。
「こんな早くにどうしたんですか？」
「忘れ物してて。凜さんは？」
「…えーと、」
目を泳がせた凜さんはすうっと息を吸うとぼそりとこぼした。
「…急ぎの作業がありまして……終わったらこの時間でした…」
……つまり。
「寝てないと」
「…はい」
「ごはんは？」
「食べてません…」
「体調は？」
「そんなに…良くないといえば良くないかもしれないです」
あは、と乾いた笑いを残して去っていこうとする凜さん。その後ろ姿を見ていると突然ゴンッという音とともに彼女はしゃがみこんだ。
「凜さんっ！」
床に倒れこむ寸前で僕は凜さんの肩を支える。彼女の顔色は悪いのに頬が少し赤くて、汗ばんでいて、息が荒かった。
「…失礼します」
額に手を当てると燃えるように熱い。
「…………、」
このまま家に送ってもこの状態じゃ満足に動けないだろう。ならば──…
「…変なことはしないので」
僕は一瞬の間に考えをまとめ、凜さんを抱きかかえて歩きだした。
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みかん(プロフ) - konayuki2222222さん» ありがとうございます！；； (2021年3月9日 13時) (
レス) id: 644a994c78 (このIDを非表示/違反報告)
konayuki2222222(プロフ) - とてもいいおはなしです！！最高です！(*｀ω´)b (2021年3月8日 23時) (レス) id: f927dca413 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 伊織さん» わあああコメントありがとうございます！！；；完結したら続編書こうと思います。リクエスト募集するつもりなのでよかったらお願いします〜 (2021年3月7日 23時) (レス) id: 644a994c78 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 続編希望です！応援しています！！頑張ってください！！ (2021年3月7日 20時) (レス) id: d1ffabcbb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかん | 作成日時：2021年3月5日 7時
