彼女と心配性な彼と優しい彼と僕�� ページ10
「瑞稀、」
気まずそうに俯いて顔を上げない瑞稀くんに、はしもっちゃんが声を掛けた。はしもっちゃんの優しい声に、恐る恐る顔を上げた瑞稀くん。
安心したように笑って、Aちゃんの肩を抱いて「ほら、大丈夫だから」と彼女を自分の前に出したはしもっちゃんは、それはもう、とても格好良かった。
「A、」
「あの…」
「ごめん、ほんとに。俺、マジでそんなこと思ってないから」
「瑞稀」
「ほんとに心配なの、Aが倒れたら、俺、心配なんだよ。心配で、なんも手につかなくなるし、Aが辛い顔してたら俺も辛いの。それはわかってほしい」
瑞稀くんは、真っ直ぐ彼女にそう告げた。
それを聞いた彼女の目は、揺れていた。
瑞稀くんの想いが彼女にちゃんと届いた証拠だ。
そうだった。
そう、瑞稀くんはいつだって自分のことよりもAちゃんが一番で。
食べるものだって彼女よりも先に選んだことはないし、行く先だって彼が否定したことは、一度もない。
髪の毛を切ったことも、
ニキビができたことも、
少し痩せたたことも、
彼女の具合が悪いのも。
気付くのはいつも瑞稀くんが一番だった。
「…」
「勢いに任せたとはいえ、思ってもないこと言ってごめん、許して」
「わたしも、ごめん。意地張って」
「ん」
瑞稀くんが、Aちゃんに少しずつ近寄る。
彼女の頭にそっと手を乗せて、頭を撫でる瑞稀くんの顔は、今まで見たこともない優しい表情だった。
言葉にしなくても、伝わってきた。
彼女のことが、愛おしい、と。
大切だ、と。
ああ、瑞稀くんって、Aちゃんの前だとこんな顔をするんだ。
「瑞稀、」
「ん？」
「今日は体調良くないから休んでても良い？」
「うん、いいよ。今度教えてあげる」
「うん」
「そうやって素直になればいいのに」
「またケンカする？！」
「もうやめてよぉ〜(笑)」
そう言って言い合う２人は、いつものAちゃんと瑞稀くんだった。そんな２人に挟まれて困ったように笑う、はしもっちゃん。
その光景を優斗は嬉しそうに見ていたし、ガリさんもホッとしたような表情を浮かべていた。
リハ室の端っこでリハーサルを見ていたAちゃんはいつのまにか壁に頭を預けて眠っていた。休憩中、その姿を愛おしそうに見つめるはしもっちゃん。
隣に座って頭をゆっくりと撫でるその姿は、誰がどう見ても恋人同士のように思えた。他の人には見せることのない、優しい顔。
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まみみ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます！幼馴染みの橋本くんが報われるといいなぁ (2022年4月6日 14時) (
レス) @page27 id: c26bea1767 (このIDを非表示/違反報告)
miso.(プロフ) - 作ちゃん落ちがいいなー (2022年3月31日 1時) (レス) @page11 id: 9507af58bb (このIDを非表示/違反報告)
ききめろ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！夢主と橋本くんが良い関係になるといいなぁ♪ (2022年3月10日 0時) (レス) @page4 id: c309b3e706 (このIDを非表示/違反報告)
かいとん - 素敵な作品ですね！ストHiHiも好きなので嬉しいです！！( ´ー`)これからも頑張ってください！ (2022年3月9日 6時) (レス) @page3 id: fb912074b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mi ayu | 作成日時：2022年3月8日 18時
