彼女と心配性な彼と優しい彼と俺�� ページ17
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「寝ちゃった、Aさん」
「こんな爆音なのによく寝れるわ」
「もぉ、瑞稀(笑)」
「作間？」
「俺の上着だけど、ないよりはマシかなって」
朝からずっとAのことを心配そうに見つめていた作ちゃんが、徐にカバンからパーカーを引っ張り出してAに掛けた。彼の表情からは、気持ちを汲み取ることはできないけれど、Aの寝顔を見て安心したような顔を浮かべていた。
瑞稀もそうだけど、作ちゃんもきっと彼女のことを大切に思ってる。朝からずっと、Aの様子を伺っていた一人だったから。
Aが具合が悪いのも、もしかしたらきっと瑞稀よりも先気付いてたんじゃないかって。そう思った。
それを確信したのは、彼がカバンからパーカーを出す時に目で追ったときだった。
カバンの横に、風邪をひいた時にAがいつも飲んでいる薬が透けて見えるビニール袋が置いてある。
そういえば、朝、移動車に乗っているときに急に作ちゃんがドラッグストアに寄りたい、と珍しくマネージャーにお願いしていたからだ。
なんで、ドラッグストア？と思ったけれど、そういうことか。Aが朝、車に乗り込んだときから作ちゃんは気づいていたんだ。
レッスン前に、作ちゃんがいつも飲まないポカリを自販機で買っていたことも、思い出した。
瑞稀が「A、具合悪いかも」って気付いたのは、リハが始まってからだったから。
きっと作ちゃんはそのことを彼女には伝えない。
それが、彼の優しさなんだろうから。
作ちゃんはいつもそうだ。
こんなにも、作ちゃんはAを想っているのに。
彼女が知らないなんて。
俺って、お人好しなんだろうか。
「A、起きた？」
「あ、りょう」
「はい。これ。薬とポカリ」
「え、これどうしたの？」
「作ちゃんが買っといてくれたみたい」
「そっか、嬉しい」
「お礼、言ってきな」
Aはゆっくりと立ち上がって作ちゃんに話しかける。勝手に俺が作ちゃんのカバンから出してあげたもんだから、とても驚いていた。
ごめんね、作ちゃん。
作ちゃんは恥ずかしそうにしていたけれど、すぐに嬉しそうにAに笑いかけていた。
それを見ていた瑞稀の表情もさっきと違ってとても晴れていた。
瑞稀もAも、作ちゃんも。
素直になれば、こんなにいいことがあるのにね。
本番まであと少し。
良い、夏にしようね。
夏はもう、すぐそこだ。
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まみみ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます！幼馴染みの橋本くんが報われるといいなぁ (2022年4月6日 14時) (
レス) @page27 id: c26bea1767 (このIDを非表示/違反報告)
miso.(プロフ) - 作ちゃん落ちがいいなー (2022年3月31日 1時) (レス) @page11 id: 9507af58bb (このIDを非表示/違反報告)
ききめろ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！夢主と橋本くんが良い関係になるといいなぁ♪ (2022年3月10日 0時) (レス) @page4 id: c309b3e706 (このIDを非表示/違反報告)
かいとん - 素敵な作品ですね！ストHiHiも好きなので嬉しいです！！( ´ー`)これからも頑張ってください！ (2022年3月9日 6時) (レス) @page3 id: fb912074b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mi ayu | 作成日時：2022年3月8日 18時
