彼女と心配性な彼と優しい彼と俺�� ページ14
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「はい、これ。水。」
「……いらない」
「ダメ。さっきから水飲んでないんだから」
今だって体を小さく丸めて蹲っている。その横に腰を下ろして、頭を撫でてやる。それと同時に鼻を啜る音が微かに聞こえた。
あーあ、こっちも素直じゃないんだから。
Aは強い。
強くて、逞しくて。
男の俺でも、格好良いと思う瞬間が沢山ある。だけど、そんな彼女にも、弱いところがあって。
でも彼女は、それを他のメンバーに見せることはない。
強がって。「大丈夫」と。
今日だって、朝から体調が悪いことを言わないんだから。
「A、」
「…なに、」
「瑞稀のこと怒ってる？」
「……怒ってない、」
「ん、なら良し。」
「…ムカつくの、」
「ん？」
「自分に。ついていけない体力にも、ダンスについてこない身体にも、覚えられない頭にもムカつくし、」
「うん、」
「でも、なにより心配してくれてる瑞稀に強くあたった自分に一番、ムカついてる」
「そっか、」
Aはわかっていた。
瑞稀が、自分のことを心配してくれていたことも。心配が故に咄嗟にあんな言葉を発したことも。
本当は足手纏いだなんて思ってないことも。
彼女はわかっていた。
瑞稀のことをちゃんと、わかっていた。それがなんだか嬉しくて、俺はフフッと笑みが溢れた。
「なに、笑ってんの」
「んーん。相思相愛だな、って思って。瑞稀とAは」
「……なんで？」
「瑞稀はちゃんとわかってるよ、」
「どっからくんの、その根拠」
「さー、どうだろうね。勘？」
「なにそれ、」
「Aはさ、もうちょいみんなの前でも素直になろ？」
そう言って俺は、Aの腕をグッと引くと自分の腕の中にAを収めた。
彼女は、強くて逞しくて、そしてかっこいい。
だけど、俺の腕の中にいる彼女は、とても繊細で、儚くて、そして弱い。
「俺と２人きりのときは、こんなに素直なのにね〜」
「…うるさい、」
そんな言葉とは裏腹に、俺の背中に腕を回したAは、ギュッと抱きついてくる。
俺の首に顔を埋めて「でも、ありがと」と呟く彼女を、とても愛おしい、とそう思った。
「ん？」
「なに、」
「なんでもない、ちょっと待ってて」
Aの頭を撫でながら落ち着かせていると、物音がした。少しAを離して立ち上がって、自動販売機の向こう側を覗き込んだ。そこには、Aが大好きなミルクティーが置いてあった。
優斗だ。
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まみみ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます！幼馴染みの橋本くんが報われるといいなぁ (2022年4月6日 14時) (
レス) @page27 id: c26bea1767 (このIDを非表示/違反報告)
miso.(プロフ) - 作ちゃん落ちがいいなー (2022年3月31日 1時) (レス) @page11 id: 9507af58bb (このIDを非表示/違反報告)
ききめろ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！夢主と橋本くんが良い関係になるといいなぁ♪ (2022年3月10日 0時) (レス) @page4 id: c309b3e706 (このIDを非表示/違反報告)
かいとん - 素敵な作品ですね！ストHiHiも好きなので嬉しいです！！( ´ー`)これからも頑張ってください！ (2022年3月9日 6時) (レス) @page3 id: fb912074b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mi ayu | 作成日時：2022年3月8日 18時
