彼女と心配性な彼と優しい彼と僕�� ページ11
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そのとき、肩を叩かれた。
振り返ると、その正体は瑞稀くんだった。
「気にすることない」
「え？」
「作間は作間のペースでAを守ってくれれば良いよ」
「瑞稀くん」
そう、瑞稀くんだって彼女に想いを寄せる一人だ。小さい頃から彼女と彼の隣にいて、悔しくてもどかしい気持ちを抱えてきたはずだ。
「俺もそうだから」
「はしもっちゃんには勝てないけど、はしもっちゃんに負けないことだってあるから」
「…」
「作間にだって、負けてない部分、絶対あるから。選ぶのはAだよ、俺たちじゃない」
そう言って、俺の背中をポンポンと叩くと優斗の練習に付き合っているガリさんのところに戻っていった。
瑞稀くんは、なんて強い人なんだろうか。
「あれ？」
リハーサルが終わって、帰りの準備をしていた。買ったはずのアレがない。せっかくだから、帰りにマネージャーにでも預けて帰ろうかと思っていたのに。どこやったっけ。
「作間、」
そんなことを考えていたら、後ろから声が聞こえて振り返る。そこにいたのは、さっきまで眠っていたAちゃんだった。
「どしたの？」
「薬、あと飲み物もらった。ありがと」
「え？」
「涼が、作ちゃんからって…違った？」
「え、あ、…違く、ないです」
「ありがとう、作間のおかげで元気になった」
「それは、よかった、です」
立ち上がって彼女と目を合わせる。さっきよりも大分顔色がよくなった彼女が笑った。
「A、帰るよ〜」
「うん」
「じゃね、作間」
「お大事にね」
「うん」
そのままAちゃんは、リハ室の入り口で彼女の荷物を持ったはしもっちゃんのところへ駆けて行った。彼はなんの躊躇いもなく手を差し出し、その手をなんの躊躇いもなく握る彼女。
「走らないの」
「ごめん」
そんな会話をしながら、はしもっちゃんとAちゃんはリハ室を出て行った。その後姿を見ていると、瑞稀くんがこちらへ歩いてきた。
「作間のおかげで元気になったってよ、よかったな」
「いや」
「Aがそう言ってんだから！ほら、ごはんいこ！」
どうして、彼がリーダーになったのか。彼は「自分なんかが」なんてよく言うけれど。
こういう姿や、こういう行動を見せてくれる瑞稀くんだからこそ、全員、彼がリーダーに相応しいと心から思っているからで。
その背中は、とても大きかった。
瑞稀くん、俺、頑張るよ。
夏はもう、すぐだ。
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まみみ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます！幼馴染みの橋本くんが報われるといいなぁ (2022年4月6日 14時) (
レス) @page27 id: c26bea1767 (このIDを非表示/違反報告)
miso.(プロフ) - 作ちゃん落ちがいいなー (2022年3月31日 1時) (レス) @page11 id: 9507af58bb (このIDを非表示/違反報告)
ききめろ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！夢主と橋本くんが良い関係になるといいなぁ♪ (2022年3月10日 0時) (レス) @page4 id: c309b3e706 (このIDを非表示/違反報告)
かいとん - 素敵な作品ですね！ストHiHiも好きなので嬉しいです！！( ´ー`)これからも頑張ってください！ (2022年3月9日 6時) (レス) @page3 id: fb912074b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mi ayu | 作成日時：2022年3月8日 18時
