検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:771 hit

奇病/IF 12 ページ12

…が、ルーシャスからは
「は…はは…助かるなら…僕……
こんな、早々に…式を挙げたいなんて、
言わない…よ……?」
スリッと指で顔をなぞられる。
「…神父…さ、ん…」
声を出すのも辛いのだろう。
ルーシャスから絞り出される音。
「…誓いの……」
神父は一瞬躊躇ったが、それでも
ルーシャスの希望に添える様に口を開いた。
「ルーシャスもう、もう辞めよう。
帰って治療方法を探そう。今からでも
体力を温存すれば…」
「ルーシャスは…ジルギアを生涯の
パートナーとし、健やかなる時も……今
見たく…病める時も、喜びの時も、
悲しみの時も富める時も、貧しい時も、
ジルギアを愛し、敬い、慰め合い、
共に助け合い……その…命ある限り…
いや、死しても尚、真心を尽くすことを誓いますか?」
俺の言葉を気にも止めず神父は誓いの言葉を
話す。
「…ち、かい…ます。」
「ルーシャス…式はまた今度でも…
出来るさ…今日でなくとも…」
ルーシャスを抱える手が震える。
「ジルギア、貴方はルーシャスを生涯の
パートナーとし、健やかなる時も、
病める時も、喜びの時も、悲しみの時も
富める時も、貧しい時も、パートナーを
愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い
その、命ある限り真心を尽くすことを
誓いますか?」
「…」
言ってしまったら
ルーシャスが居なくなる。
そんな気がして口から言葉が出なくなる。
「…ジル…君…?」
ルーシャスの瞳の色が徐々に青色から
灰色に変わっていく。
「おっさん…!!!」
嫌だ…
失いたく無い。
ルーシャスの頬に手を添え、撫でる。
「ッ…誓い、ます。」
その言葉を聞くとルーシャスは
満足気だった。
「…では誓いのキスを」
ルーシャスを抱える手に力が入る。
フッと笑ったルーシャスがキスを待ち
目を伏せた。
唇を近づける。
「…ジルギア…」
「ルーシャス」
「「愛してる」」
口付けを交わした。
口を離すとルーシャスは満足そうに
幸せそうに微笑んでいた。
そして、
顔の半分を覆っていた花がポッポッと
新たに芽を出す。
左半身にも、指先にも。
左手にハメられていた結婚指輪を
覆う様に。
ルーシャスの左手を持ち上げ
薬指にキスをする。
「ジル君…ジル君の左手を…
僕の口の、前に…」
「ルーシャス…」
言われた通りにすると、お返しと
言わんばかりに俺の左手の薬指に
ルーシャスはキスをした。
「ジ、ル君……愛し、…て、る…よ……。
僕も…、…マ…シャ……も、…」
「…あぁ。」
「僕…を、…わ、すれ…」
「忘れないさ。」

奇病/IF 終→←奇病/IF11



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 7.8/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年12月2日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。