17 ページ17
賄いには紫蘇の天ぷらがついてきた。しかし、喜べるアドレナリンを出す力が、脳には残っていなかった。
乱太郎くんの話では、天女は見つかり次第、すぐに処されるそうだが、先程のお子様の話では、天女は今生きていて、学園で生活しているらしい。
なぜいきなり方向性を変えたんだろう。チャームが強いのか、心変わりしたのか、原因はいろいろ考えられる。
そして私を最も悩ませる発言があった。
「天女様が帰ってしまうのは悲しいけど、早く方法を見つけて帰らせてあげたいね」
おじ様が仰っていた、忍術学園には沢山の書物がある、と。
つまり、その天女は今まで優遇されていて、私よりも早く現代に帰れるように過ごしていたということだ。
なんだそれ。そんなことを知っていたら、私だって忍術学園に滑り込んでいたのに。
と思う反面、素直に出頭していいのだろうか、という疑いが出ている。
考えれば考えるほど、確実な理由を知らないと釣りにしか思えない。乱太郎くんにもっと聞いておくんだった。
『ご馳走様でした。先にあがります、お疲れ様でした』
「はーい。また明日もよろしくね」
店長に断って店を出る。例の話のせいか、帰路では誰かに見られているように感じた。
怖い...けど、今日はとにかく眠い。現代では毎日風呂に入れてたのに、それは贅沢だったのかも。
ガサガサ音を立てる木々が、より一層恐怖を掻き立てる。ほんと怖いって...動物とか出てきたらどうしよう...
なんて思っていたら、上から黒い大きいものが落ちてきた。あぁ、でかいカラスだな...
『ん?カラス...じゃない...!?』
よく見ると、地面に這いつくばっているものに羽はなく、翼もない。かわりに黒い装束を纏っており、手には忍者がよく使っている武器が握られていた。
に、忍者...だよね?頭が白くなっちゃってる...なんかの粉かな?気を失ってるし、置いてくのも忍びないし...
考えた結果、この人が起きる前に猪名寺家へ運び、私を視界に入れないようにすることにした。
もし忍術学園の人だったら、関わりたくないから。
『ん゙っ...!重い...』
おそらく男である忍者の上半身を背負って、ズルズル引き摺って帰る。
彼が良い落とし物であればいいな...
260人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くまのん - 神作品を発見‼とっても面白かったです‼ (5月3日 16時) (レス) id: 333fed96b4 (このIDを非表示/違反報告)
ますしん(プロフ) - わくわくどきどき…続きが気になりすぎてどうしよう!!現世での伊作もどきとの関係も気になる! (4月25日 20時) (レス) @page24 id: 3a092db897 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - うわあ!待ってました!!ついに接触!?面白すぎます!! (4月15日 13時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
おんぷ - とても続きが気になって内容忘れないよう何度も読むくらい好きな作品です。 (3月31日 1時) (レス) id: 4cbcaaccff (このIDを非表示/違反報告)
おんぷ - 私だけでこちらの不具合だったらごめんなさい。更新や日付けは新しくなるのに20から先が表示されないのは 作者様がまだ非公開にされてるからでしょうか?質問失礼しました (3月31日 1時) (レス) id: 4cbcaaccff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シュモ | 作成日時:2024年2月29日 17時