case BY case (ページ37)

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立ち上がった、っと同時に

おぼつかない足がふらふらっと

重心を失ったみたいにふらついた

「ったく……しっかりしろ」

「セフン……」

支えられたままの腕が

ほんの一瞬、離れて

ふんわりと体をコートの温もりが包んだ

「あったかぁ……」

そう呟けば

そのままコートを引っ張って

ぎゅっと今度は違う

甘くて優しい温もり

「俺が暖めといたから、当たり前」

セフンの腕の中で

どきどきより

不思議と安心感が広がった

「鍵、とりあえず中に入ろう」

そう言われて

コートのポケットから鍵を取り出した

ふらつく足取りに

セフンが回した腕を支えに

なんとか家に入った

「適当にやるから、Aは座ってろ」

ソファーに座らされて

私の部屋をセフンがばたばたと動き回るのを

ちょっと不思議に感じながら

コートのポケットにあったスマホを取り出した

何件ものスルギから、ダニエルから

部署の後輩からのLINEに着信

一番に開いたスルギのLINEに既読がつくと

文字を打ち込んでる最中にスルギからのLINE

スルギ「A、ごめん！ほんとごめんね」(22：19 )

泣いてるスタンプが送られて来て

スルギ「セフンに、彼女なんかいないから！」(22：19)

その文字に、頭がついていかなくて

ただ、涙だけが出た

　
　
　