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ダニエル side
「ちょっと失礼」
わざとらしく出した接客用の声のトーン
スマホの着信画面を見せながら
セフンさんが立ち上がった
がやがやとした店内に
意識しなきゃ聞こえないくらいに
小さく流行りの音楽が鳴り響く
4人で来る定番の店
両サイドに仕切りのあるテーブル
俺の横にはAさんが座ってる
というより
スルギさんがセフンさんの腕を引いて
先に席についたから
強制的にAさんは俺の隣に座った
「やだ、ちょっと化粧直してくる！」
手に取ったスプーンに映った顔を見て
大袈裟に頬に手を当てて
笑うスルギさんも席を立った
「いってらっしゃーい」
機嫌良く見送るAさんが
ワイングラスを傾けた
ほんのり染まった頬と
ワインで潤した、艶めいた唇に
グラスを見つめてた目が
流れるように動いて俺を捉えれば
「っ……」
小さく漏れそうになる声に
一瞬、息を止める
「ね、ダニエル」
そう甘く名前を呼ばれれば
「もう酔ったの？Aさんらしくないっ」
話をさせないように、主導権を握られないように
いつも通りにちょっと生意気に笑う
酔ったAさんのペースには
巻き込まれたくない
どうにかなっちゃいそうだから
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作者名：LINK | 作成日時：2017年12月23日 21時
