～カラフル◎ドロップ's～後編 (ページ21)

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長い沈黙の後、口を開いたのは光くんだった。

「涼介は、頭が良くて、スポーツ万能で、かっこ良くて、

完ぺきな兄ちゃんだった。

羨ましかった。

母さんも父さんも、涼介が大好きだった。

俺は、何も取り柄がなくて、

皆、涼介は偉いね、涼介は凄いねって言ってて、

俺、愛されてないんだなって思った。

あの日、涼介が崖から落ちて死んだ時…

俺は…

涼介になろうと思った。

何考えてんだって思うだろう？

でも…俺は…

涼介が大好きだったし、母さんも父さんも

…大好きだった。

母さんと父さんの悲しむ顔を見たくなかった。

涼介が死んだら悲しむだろうって。

それから俺は、涼介になった。

勉強とかは大変だったけど、記憶喪失ってことにして…

母さんも父さんも、俺に光の話をすることは無くて、やっぱり愛されてないんだなって思ったよ。

喧嘩は嫌いだよ？

平和に過ごせないのかよ！って…

でも、涼介は喧嘩も強くて。

そんな涼介が言ったんだ。

「俺でも敵わない奴はいる。

しげちゃん。あいつには敵わないよ」

って…。

でも、涼介はしげちゃんと戦ったことは無かった。

なんでそんなことわかるの？って聞いたら、涼介は笑った。

「あいつは、強い。困難を乗り越えて、大切な仲間を持って。」

意味は分からなかった。

でも、涼介が敵わないって言ったしげちゃんの本気がどんなものかと見てみたいと思ってね。

俺は、強くなって、東のトップになった。

涼介としてね。」

…

……

それまで、黙っていたしげちゃんが口を開く。