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体が平衡を保てなくなり、椅子から前のめりに倒れそうになる。
(これは、やばいっ…!)
地面と衝突するかと思った瞬間、
「Aちゃんっ…!!」
寸前で甘い香水のような匂いに包まれた。
どうやら中間さんが受け止めてくれたらしい。
「大丈夫っ?!体調悪いんか!!
ってか身体あっつ…熱あるやろ?」
『大丈夫です、すみません。ちょっと寝不足なだけなんで!
でも、今日はちょっと、帰りますね。』
「送ってくわ。車出すから少し待っときっ!」
『いえ!ほら、お店もありますし、1人で帰れます。』
なるべく平気なフリをして、中間さんの腕から抜ける。
しかし、途端に目眩と頭痛。
朝よりもだいぶひどくなっていて、
思わずガタンっ!と近くのテーブルにぶつかってしまった。
「大丈夫じゃないやろ、それ。」
再びガシッと腕を掴まれる。
「…そんなフラフラした身体で、
一人で返せるわけないやろ、アホ。」
"アホ"という初めて向けられた優しくない言葉。
しかし、
その時の中間さんは
今まで見たどんな時よりも優しい表情をしていた。
強がっていたのは心だけで、
身体はもうとっくに限界だったらしい。
最後にその中間さんの顔を見たまま
私は意識を手放した。
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作者名:冬華 | 作成日時:2019年8月14日 1時