.ホットカフェラテ.(黄) (ページ21)

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12月上旬、
またいつも通りバイト前にカフェに訪れると、
珍しくカウンターで男の人が中間さんと話していた。

話の邪魔をしたら悪いと思い、目があった中間さんに口パクで

"いつもので"とお願いし、遠めの席についた。

しばらくしたら、カウンターに座っている男性が笑顔で私を手招きしているのに気づいた。

(え？私のこと呼んでる？)

私の周りに他の客はおらず、嫌そうにその人の手招きを止めようとする中間さんが気になったが、

無視するのも気が引けたためカウンターに向かった。

『えっと、すみません呼びました？』

「この子が淳太くんのお気にの子か！

ごっつ可愛いやん！！まぁ座ってや！！」

いきなり褒められて面食らってしまったが、
隣の椅子を引かれたのでとりあえず座った。

「照史、お気にの子ってなんやねん。

うちの常連さんや、失礼やろ。」

中間さんはごめんなぁと謝りながらホットカフェラテを出してくれた。

「いやそれはごめんってえ！

でもまぁいつも淳太がお世話になっております！」

いや父親か、お前は俺のなんやねん、

とテンポよくツッコミをいれる中間さんに思わず笑ってしまった。

「ほんとごめんな、こいつ俺の同級生で、桐山照史。

あっそうそう、この間Aちゃんのバイト先で一緒に飲んでたやつの1人。」

ちょっと肌が黒くて、ハキハキとした関西弁の印象とは対照的な八の字の困り眉。

「あっあそこでバイトしてたん？！

いやーあの日はまじで飲みすぎてしもうて。

翌日の仕事最悪やったわ…」

「俺は止めたで、自業自得やろ。」

そんなこと言わんでぇ～！と泣くふりをする桐山さんは表情がコロコロ変わって面白い。

「Aちゃん、ゆっくりしたかったやろ？

もうこいつのこと無視して戻ってええで。」

『いえいえっ！お二人の会話聞いててとっても楽しいです笑』

これは本音で、目の前で繰り広げられる夫婦のようなやりとりは見ていて飽きなかった。

むしろいつも穏やかな中間さんの素を見れた感じがしてちょっと嬉しい。

(…下の名前、淳太っていうんだ。)

そういえば名字しか知らなかったことに今更驚く。

また中間さんの情報を一つ得ることができ嬉しくなっていると、

「Aちゃん、クリスマスとかどうするん？

もう今月やろ？」

突然話を振られてギクッとした。