.ホットカフェラテ.(黄) (ページ11)

今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:42,912 hit

11 ページ11

.

23時頃、段々店内が騒がしくなってくる。

お客さんが酔ってきて、喋る声が大きくなってくるからだ。

こういう居酒屋だと酔ったお客さんが絡んでくるのもしばしば。

だけどこの1年でだいぶかわすのも上手くなった。

しかし、今日は上手くいかなかった。

(…空いてるグラスっと。)

こちらお下げしますねーといいながらテキパキと下げられるものは下げる。

空のジョッキを片手に3つ4つ持つのなんてなんてことないのだけれど、

「お姉さんお姉さんっ！いーよいーよ一個ずつで！重いでしょっ！」

20代後半くらいの、ガラの悪そうな男の集団に声をかけられた。

『いえ、全然大丈夫ですよ！お気遣いありがとうございます。」

「いやいや、こんな細い腕じゃ折れちゃうよー！」

それと同時に、むにっと二の腕を掴まれた。

にやにやとこちらを見るその顔と手の感触にぞわっとしながら、笑って受け流す。

こういうのは流すのが1番だから。

「てかお姉さんめちゃくちゃ可愛いね！今いくつ？学生さん？彼氏いるの？」

そんなことないですよー学生ですーと軽く流してその場を去ろうとしたら、

「お姉さん一緒に飲もうよ、ね？いいでしょ！」

そう言って男は私の肩に腕を回し、椅子に無理やり座らせようとしてきた。

(お酒くさっ、どうしよう、これは面倒だな…)

『あのっすみません困ります。勤務中なんで、離してください。』

「いーからいーから！」

振り払おうとした手の力は強く、解けない。

お前やめとけよーなんて言いながらゲラゲラ下品に笑う周りの仲間達。

『あのっ、本当にやめてくださいっ！』

周りのお客さんもこちらに気づきチラチラ見てくる。

(このっ…酔っ払い…！)

ぐっと強く掴まれた腕は痛いし、

とまらないセクハラにどうしたらいいかわからず

思わず泣きそうになってしまったとき、

「あの、すんません。お姉さん困ってますけど？」

聞き慣れた、あの声がした。