糸が結びつくその日まで。〜spring〜

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“コンコン”



貴「失礼します…！先生、



遅くなってしまって、すみません。」



舘「全然。テスト前だから



教えてもらってたんでしょ？」



貴「はい…欠点取るのはまずいなって思って。」



舘「そうね。進路関わってくるし。



そうだ、進路希望どうするの？未だに



出してないの、Aだけだよ？



美優とラウールはすぐ持ってきたけど。」



貴「まだ決まってなくて…」



舘「ダンスは？続けないの？」



貴「ダンスで食べていけるのなんて、一握りなので…」



舘「んー。まぁ、夏休み前までには



きちんと出してね？」



貴「はい…」



舘「あと、言いたいことがあるんだけど…」



そう言って立ち上がったかと思えば



私の前に立つ先生。



そのまま一気に壁に追い詰められた。



いわゆる壁ドンってやつ。



舘「阿部と距離近すぎ。」



貴「いや、そんなつもりは…」



舘「俺以外の先生にあんなに近づかないでよ。



Aは俺の生徒でしょ？」



貴「でも、好きとかじゃないですし…」



舘「阿部は好きかもしれないでしょ？」



貴「それは…」



舘「こんなにも俺のこと振り回して、



本当、ずるいよ。Aは。」



そう言って頰に手が添えられる。



どこか切なく見つめられる先生の瞳に



心がギュっと締め付けられる。



貴「そんなこと言われても、この気持ちが



何なのかわからないんです…」



舘「じゃあ、答えがわかったら俺に教えて？



俺はずっと待ってるから。」



そう言って優しく頭を撫でてくれた先生。



舘「じゃあ、明日からのテスト頑張ってね。」



貴「はい…」



気をつけて帰るんだよ。なんて言ってまた



頭を撫でてくれる。



先生に頭を下げて家路を歩く。



明日からしっかりテスト頑張らなきゃ。

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