９通りの恋の味 Ⅴ (ページ22)

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深「どっかその辺座っていいよ。」

貴「はい…」

辰哉くん、あからさまに機嫌が悪い。康二くん話したんだろうな…。

深「翔太とはどこまでいったの？」

貴「定食屋さんにご飯に行って、海に行って帰ってきました。」

深「…床ドンされたんでしょ？」

貴「はい…」

やっぱりそのことだった。翔太くんには何も言わなくていいって言われたけど、
きちんと説明すべきだよね。

貴「でも、あれは私に対する警告だったんです。男をおちょくるなって。」

深「でも、翔太がまったく下心がないとは言えないじゃん？」

貴「それは…」

深「Aちゃんは警戒心がなさすぎ。心配だわ。」

たしかに辰哉くんがいうことは正論だ。本当に嫌なら蹴ってでも退けることが正解だ。
でも私は押し倒されてそのままだった。

深「それに自分が好意を寄せてる人が他の男にそんなことされたって聞いたら気が気じゃなくなるのも当然よ。」

辰哉くんは私の手を握って真っ直ぐな目で見つめた。

深「みんな本気なんだよ。Aちゃんに。」