不協和音 third

人はそれぞれ、バラバラだ ページ27

ライブ後半。





カップリング曲、『語るなら未来を』から始まる。








そのあと、クールな曲を中心に、残すところ、あと二曲となった。


　







暗転するステージ。







次の瞬間ー








業火とともに、てちが登場、








『自分の棺』だ。







てちの代名詞でもある、表現力。









会場は圧倒される。








『夢は儚いもの
愛は愚かなもの
すべて わかってたはずなのに…
罪は信じたこと
罰は出会ったこと
一人きりで地獄へ落ちろ

自分の棺
用意しよう
瞼を閉じながら
青い月が影を落とし
心 少しずつ
死んでゆく』








なんて切ない歌なんだろう？







この曲を聞くたびに思う。






この胸の痛みは、夢とか愛とか、高望みしてしまったから...






夢を持った自分は、地獄に行くのが相応しい。








強烈な自己嫌悪と、すさみきった心ー







欅坂という場所で、愛とか夢とか、知ってしまったから、







もう、元の普通の女の子の感覚には戻れない、







まるで私たちのことのようだ。







高らかに歌い上げるてち。







再び、ステージが暗転する。








私たちの出番だ。







白い布を持って、各々、配置につく。






薄明かるくなると同時に、メンバー同士が争う。







時に、布を取り合ったり、また、自分で破り裂いたり...







そして、白い粉がかけられ、一気にステージの視界が悪くなる。







ここで、ソロ曲の衣装から、不協和音の衣装に着替えたてちが、合流。







不気味なピアノの前奏とともに、イントロが流れ出す。







『仲間からも打たれると思わなかった』






ここで、てちが打たれる。






血糊が飛び出す。







そして、渾身の







『僕は嫌だ。』








会場のボルテージは再び、頂点に達する。







てちのとなりで踊っていて、てちがよく見えるが、







今までの不協和音の中で、一番いいパフォーマンスだ。







百点以上のでき。








最後、てちを頂点に、三角形に集まり、決めポーズして終わる。







何か、燃え尽きたーそんな顔だった。








私たちが、ステージから、出ても、







鳴りやまぬ欅コール。








私たちの、初ライブは成功で幕を下ろした。

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