【HQ!!】逆向きの下心。【及川徹】-完-

#36 ページ36

＊





及川「ねぇA」



『なんや』





前を歩くAの背中に声を掛ける。





及川「俺、恋愛禁止守れないかも」



『え？』





なんてふざけもせず言ったもんだからAも普通に驚いていた。





及川「今すぐ欲しいって、思っちゃった」





そう、俺は笑った。





『なんやそんなことか』





そう言って歩き出したA。





そんなことって…





及川「そんなことって、なに？」



『うちもそう思うことあるなぁ思て、な』



及川「うそ…」





後ろ姿のままのAの言葉に心拍数が上がる。





『せやけど今は付き合われへんって思っとる』



及川「え…」



『春高は残り1回しかあらへん、けど恋はまだ時間あんねん』



及川「じゃあさ」



『ん？』





Aはバレーに一途で、





恋愛は後回しで、





それくらい一生懸命だから、





俺は惹かれたのかもしれないね。





・





及川「誰かのものにならないでね、A。」





・





『なんや、それはこっちのセリフやで？』





大人っぽく笑ったAは、続けて言った。





・





『誰かのものにならんでな、徹。』





・





及川「当たり前じゃん…！」



『うちやって、そうや』





この感情の居場所が見つかった。





そんな瞬間だった。





『ほな学校戻るで、まだやらなあかんこと多いんやから』



及川「そうだね！」





親友以上、





恋人未満。





＊

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