アンチ ページ3
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A「…。」
目黒「え？何？どうしたの？」
こないだの歌番組、ダンスも歌も絶好調で内心嬉しすぎてフリーダンスの部分でバク転をしてしまった。
しかもさっくんも同じタイミングでバク転したらしく、シンメみたいで綺麗だったとスタッフさんから好評だった。
他メンバーからネットニュースに記事が出来てると言われ驚いた。
沢山褒められたらニヤニヤを抑えきれないかもしれないので、こっそり楽屋を出て人の来なさそうな階段で座ってネットニュースの記事を見た。
記事は褒め言葉が綴られており、コメントも良いコメントでいっぱいだった。
嬉しくてついニヤニヤしていた時に見てしまったのだ。
アンチコメントを。
『何調子乗ってんの？あそこはよく佐久間くんがバク転してるところなんだから邪魔しないでよ。佐久間くんのバク転全然見れなかったんだけど。』
わかっている。
この世界には味方もいるけど敵もいっぱいいるってこと。
ジュニア時代はそれこそ敵だらけだったからわかってたはずなのに。
だからエゴサしないって決めてたのに。
デビューしてからは私のファンの子も増えてきて、だから調子に乗ったんだと思う。
調子に乗ってバク転したからさっくんの見せ場を奪ってしまった。
調子に乗ったからさっくんファンの子の楽しみを奪ってしまった。
調子に乗ったからエゴサなんかして傷つくんだ。
この子の言う通りだよ。
目黒「え？何？どうしたの？」
頭上から降りて来た声に顔を上げる。
するとめめはひどく慌てた顔をして私の横に座った。
目黒「なんで泣いてるの？」
A「うそ、泣いてる？」
目黒「うん。泣いてる。」
そういうとめめは自分の服で私の目じりと頬を拭いた。
A「ファンデで汚れちゃうよ。」
目黒「いいよ。」
忠告しても構わず拭き続ける。
拭いても拭いても涙は止まらないらしい。
目黒「ねぇ、キリないんだけど。」
そう言って笑うめめ。
年下なのにお兄ちゃんっぽくて、優しくて、泣けてくる。
今度は私が自分の裾で自分の涙を拭いた。
拭いても拭いても溢れてきて自分の顔を覆った。
するとめめに優しく抱きしめられた。
目黒「理由言いたくないなら言わなくていいですけど、俺の知らないところで泣かないでください。心配するんで。」
A「わかりました。」
いつもため口なのに、なんで今だけ敬語なんだろう。
そう思いながらも私はもう少しめめの腕の中で泣くことにした。
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作者名：迷子のフクロウ | 作成日時：2022年12月17日 20時
