修羅場（2） ページ18
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ピンポン、ピンポン、ピンポン…
部屋のチャイムを連打する音が聞こえて私は立ち上がった。
扉を開けると焦りの表情でいっぱいのふっかさんがいた。
深澤「A！」
A「ふっかさん。」
私は思わずふっかさんに抱き着いた。
背中に手のぬくもりを感じるものの、ふっかさんからは「え…。」と動揺の声が聞こえた。
深澤「…康二、何してんの？」
向井「…。」
ふっかさんが康二に問いかけるが返答はない。
深澤「…ごめん、阿部ちゃん呼んでいい？」
A「…うん。」
ふっかさんの問いかけに私は返事をして体から離れた。
ふっかさんが電話をかけるとすぐに阿部ちゃんが部屋に入って来た。
阿部「いや、どういう状況？」
深澤「阿部ちゃん、Aを頼む。俺は康二連れてくから。」
阿部「…わかった。」
深澤「A。」
A「はい。」
深澤「大丈夫だから。」
私の頭を撫でてそう言うふっかさんは本当に心強い。
ふっかさんは康二に声をかけて立ち上がらせる。
康二はまるで抜け殻のようにただふっかさんの後をついていく。
A「…康二。」
名前を呼んでも届くことはなく、静かにドアは閉められた。
阿部「A座って。」
A「うん。」
阿部ちゃんに座るよう促され二人とも椅子に腰かける。
阿部「何があったの？言える範囲で教えて？」
A「今日、打ち上げが終わったあとに正門くんとご飯行ったの。」
阿部「あ〜、Ａぇ！groupの？」
A「うん。それをなぜか康二が知ってたみたいで、初日なのになんで？って怒られた。」
阿部「あ〜…。」
阿部ちゃんは天を仰ぐように頭上を見上げた。
やっぱり私が悪かったのかな。
私のせいで康二があんなに怒ったのかな。
阿部「康二からご飯のお誘いってあった？」
A「うん。でも正門くんの方が先だったから断った。」
阿部「だからか。」
阿部ちゃんは苦笑いをしながら納得したように頷いていた。
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作者名：迷子のフクロウ | 作成日時：2022年12月17日 20時
