クールな彼女との距離感【Snow Man】-1- (ページ17)

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修羅場（1）ページ17

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A「康二？」

部屋の前にはうずくまっている康二の姿があった。

声をかけるが反応はない。

もう一度近くにいって名前を呼ぶと勢いよく顔を上げた。

向井「…Aちゃんどこ行ってたん？」

A「え？なんで？」

向井「なんでって…。なんでよりによって正門なん！？」

急に声を張り上げる康二に思わず驚いてしまう。

とりあえずこのままだと他のお客さんに見られる可能性があるので私は康二を自分の部屋に押し込んだ。

A「康二どうしたの？」

向き合って聞くが康二の目は明らかに怒りに満ちていた。

向井「ライブ初日やのにAちゃんの中では俺らより正門が優先なん！？」

A「ごめん。」

なぜ正門くんと一緒にいることを知っているのかはこの際置いといて、確かに私の中でいつも一緒にいるメンバーより滅多に会えない正門くんを優先したのは確か。

だからそこは素直に謝った。

向井「謝らんといてや…。」

その場にしゃがみ込む康二に対してどうしたらいいかわからず、私も一緒にしゃがみ込む。

「なんで、なんでなん？」と呟く康二の背中をそっと撫でる。

しかしその手は康二によって払いのけられた。

向井「もうAちゃんなんて知らへん！！」

そう言って私を見る康二だったが、怒りの表情から一転、一瞬にして困惑の表情になった。

向井「…え、待って。なんで？なんで？え…、なんで泣いてるん？」

A「え…？」

自分の目元を触ると確かに泣いていた。

だって康二のこんな姿初めてだから。

手を払いのけられた瞬間、康二から拒絶を感じた。

そんなことも初めてだし、康二にこんな声を荒げられたのも初めてだし、正直、知らない人みたい。

向井「ごめん、ほんまごめん！！ちゃうねん！！俺はただ！！」

康二が近づいた瞬間、私の体が勝手に後ろにさがった。

向井「嫌や！俺から離れんとってよ！！」

取り乱す康二を前にどうすればいいかわからない私は気づいたら電話をしていた。

深澤『もしも～し、どぉしたの？』

A「ふ、ふっかさん、来て！」

深澤『え？何！？今どこ！？』

A「私の部屋。8110。」

深澤『わ、わかった！すぐ行く！』

向井「なんで？なんでふっかさんに電話してるん？そんなに俺のこと嫌いなん…？」

泣き出す康二に手を差し出すこともできない。

私もただ涙を流すことしかできなかった。