主人公と一緒に転生した女

浴衣 ページ31

食事は皆美味しく食べてくれてたみたいだ。私は勿論料理なんて作れない為、出来上がったものを運ぶ係に任命された。

正直王選候補者と関係者(何だか皆と友達のような感じになっている気がしなくもないが)がズラリと並んでいた為、緊張した。


「そろそろ片付けをお願いします」

ヨシュアさんにそう言われ正座のまま障子を開ける。
日本で旅館に泊まった時、大体そう言うおもてなしをされた気がしたからだ。


「久々に寿司食って感動したよ俺は」
「本当にすごーく美味しかったわ」
「もう絶対ワサビとやらを食べたりなんかしないのよ」

「あなたさんとも今度ぜひこの食事を共に堪能したいですね」
「せやね。本当にさっきからあなたさんの事しか話さんのやね、なんか逆にもうおもろいわ」

エミリア様陣営、アナスタシア様陣営、しか近くを回れなかったのでそれ以外の人に聞き耳を立てていないが、皆満足していてくれててホッとした。



その後少し休憩して、風呂の点検に向かった。

廊下を歩いていると何やら話し声が。聞くとその声はスバルだった。というか、スバルの声が大きくて他が誰か聞こえないだけであった。


「ちょっと、スバルの声すっごい響いて__ユッユリウスさん！？とラインハルトさん！！？ビックリした…」

「えぇ俺の声響いてんの！？ってこういう声か…気を付けよ」

「今日は沢山会えて光栄です、点検ですか？丁度私たちが最後ですよ」

「良かったです！それにしても浴衣とってもお似合いです！勿論ラインハルトさんも」

「いや俺は」「…別に」

ブツブツ文句を言ってる日本人は置いといて。
本当に2人の浴衣姿は想像を超えた。なんてカッコイイんだろうか。こんなにも浴衣が似合う人はいるか？いないだろう。食事を運んだ時にクルシュ様やフェリス様の近くにいた男性くらいかもしれない。

「ありがとう。君もきっと着たら似合うと思うんだけど着ないのかな？」

「生憎私は従業員なので着る機会は特には…。というか私は別に似合いませんよ！」

「そんな事ないですよ。きっと貴方が浴衣を着たらより一層素敵な女性になるかと」

「うわぁ、幼馴染が口説かれてる図すげえやだ。嫉妬では無い嫌さを感じる」

「今気づいたけどユリウスもあなたもいつまで敬語なんだい？」


そうだった。私たち未だに敬語の関係なのだ。
ラインハルトさんは距離の詰め方のバグだけれども…。

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