取引 ページ3
「え?グミって何だい?」
「グミは私の出身国のお菓子です!もちろん安全ですよ?代わりに私が一つ食べてもいいくらいです。」
パクリとグミを口にした。 あぁ、この取引が成功して私が一生元の世界に戻れなかったら最後のグミなんだろう、と味を噛み締めた。
「ほう...。たしかに悪いもんじゃなさそうだね。」
赤い目を細めながら彼女はグミを口にした。
「おっ!?甘いなこれ。美味い美味い!君の出身国はどこだい?是非現地で沢山買いたいものだ。
あと君の名前は?ちなみに私の名前はケイだよ。歳は?旅人かい?何故ここに?それにーーぁ、またやらかした...。」
「?大丈夫ですよ?」
ケイという女はさっきまでの勢いを無くし縮こまってしまった。
それにしてもこんなにグミの効果があるとは...。そんなにもこの世界では珍しいのだろうか。
「すまない。質問攻めをしてしまう癖があってね。以後気をつけるよ。君の名前を教えてくれ。」
「名前は簪あなたです!歳は18の高校三年生!」
「コウコウというのが何かは分からないが、了解した。 それで、出身国は?」
「それは遠い東の国に...。」
「遠い東って、ルグニカだろ?」
「そこらへんです! 旅人でブラブラしてたんですけど迷っちゃってここに辿り着いた感じで...。」
彼女はなるほどと頷き、それをうんうんと繰り返した。
日本ですと言って通じるわけがない。
ルグニカ?という国も聞いた事が無いけど、とりあえずそこら辺なんだよと濁しておくことにした。
「つまり旅で色々あってお金も全くない、ここがどこかもわからない、知り合いもいない。だからこのグミって食べ物と宿を交換してほしい、と。
___私が宿主で良かったな。I日だけなら泊めてあげるよ。」
「ありがとうございます!」
「堅苦しいなぁ。君と私、そんなに歳の差無いんだし敬語使わなくていいよ!」
ケイは善人なのであろう。
字も読めない私を家庭環境の悪い子供と勘違いしているようで、優しくしてくれた。
この設定に乗り、明日から働きお金を貯めればどこか家が手に入るかもしれない。
そんな期待を胸に、宿へと向かった。
ーーーー
そして、着いた瞬間、私の視界はまた太陽の光でいっぱいになった。
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ゆめか(プロフ) - リリィなモモさん» コメント気づきませんでした(ToT)ありがとうございます!ゆっくりですが更新お待ちください! (2022年5月25日 13時) (レス) id: 4e65cc4844 (このIDを非表示/違反報告)
リリィなモモ(プロフ) - 更新待ってました〜! (2022年5月22日 13時) (レス) id: e604e437d5 (このIDを非表示/違反報告)
リリィなモモ(プロフ) - 面白いです! (2022年5月17日 2時) (レス) @page16 id: e604e437d5 (このIDを非表示/違反報告)
ふるてぁ(プロフ) - みかんじゅ〜すさん» ありがとうございます! 転生場所を変える工夫がコメ主さんに響いて良かったです! (2021年7月17日 18時) (レス) id: 6cf9aca7da (このIDを非表示/違反報告)
みかんじゅ〜す(プロフ) - おぉ、おお!!めっちゃ好きです!(((こういう一緒に転生してきた系の小説だとスバル達と一緒のことが多いので、新しい感じです!!(?) (2021年7月9日 16時) (レス) id: 30ce22080f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆめか | 作成日時:2021年6月15日 19時