文豪たちに追われてるんだけど、どうしたらいい？

私を捕まえて ページ23

敦「ガァウッ！」


一声吠えると、そのまま私の方に突っ込んできた。

ギリギリで避けても、その先には指名手配犯である芥川さんの姿が…


芥川「《羅生門》」


長い黒のコートが揺らめき、私を串刺しにする勢いで向かってきた。


『危なっ⁉ って、重い…』


避けようとしてジャンプの態勢を作った瞬間、何かから強く押さえつけられる感覚に襲われた。


これは…



『…重力？？』


中也「ご名答。さァて、そろそろ遊びも終わりにしようぜ？」




立ち上がることもできず、顔だけ上に上げて3人(1人は虎)を見る。



…本当は、私の答えは決まってる。


彼らは私がこんな異能力を持っていても、受け入れてくれるだろう。

だって、私を守るために彼らは私を追いかけていたのだから。


彼らと交戦状態になった時も、異能力を使う時も。


いつだって、『私を殺さないように』してくれていた。


…でも。



『今、捕まるわけにはいかないんです』


中也「あァ？』



『私を捕まえるのは、あの人じゃないとダメだから。

私のことを、1番に受け入れてくれたあの人がいいの』


敦「グルルル…」


白虎がゆっくりと私の方に近づいてくる。

まるで、獲物を狙うかのように。

ん？獲物？

そういえばこの虎、まるで、人間じゃないような…

…まさか自我がないパターンですかっ⁉



私が驚いて後ずさったのを見逃さず、その虎はたくましい前足で地面を蹴り、私の方へと飛びかかってきた。

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