11.飴 ページ12
『っ…』
乾いた音が響き、頬に痛みが走る。
私の頭上からは水が流し落とされ、それまで綺麗だった床も、今のでまた汚れてしまった
「ほらほらぁ、こんなに汚れてるじゃない」
「俺たちの分までしっかり働けよ、拾われ魔法騎士サン?」
折角並べたドミノを倒された時の、あの悔しさ。今の私は、まさにそんな状況下にいた。
…泣くぞ私。そこまで心が強くないんだから。
「おや、A。そんなに濡れて…大丈夫ですか?」
『団長…はい、大丈夫です。少し足を滑らせてしまって』
「ふむ…そうですか。お掃除ご苦労様。あまり無理はしないように」
『あ…ありがとう、ございます…!』
たまたま通り掛かった現団長さんに声を掛けられた
優しい言葉に思わず涙が出そうになる。
ヒゲを撫で付けながらにこやかに去っていく団長さんを見送り、掃除を再開。
『(世の中、まだまだ捨てたもんじゃないな…)』
優しい現団長さんのお陰で、もう少しだけ頑張れる気がしてきた。
「何だよアイツ…拾われのくせに」
「生意気な野郎だな…オレらで世の中の厳しさってもんを教えてやるか」
「ああ、そうだな。そうしよう」
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沙耶香 - うわぁフィンラル…‥かわいそう…‥ 面白いです!更新頑張って下さい!!! (2018年7月8日 6時) (レス) id: 4038676c9e (このIDを非表示/違反報告)
化け狸 - 面白いです。更新応援しています。 (2017年12月11日 20時) (レス) id: 9e16e8366e (このIDを非表示/違反報告)
黒胡麻プリン - 話し面白かったです。更新頑張ってください。 (2017年12月8日 21時) (携帯から) (レス) id: 522dc39055 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:このは | 作成日時:2017年11月18日 20時