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カツン、と金属音がした。
どこかのストレッチャーに乗っている
荷物から転がり落ちてきたものだろうか。
「阿部ちゃん、これっ、な、あ、」
康二が俺の腕を掴んで、それを見せてくる。
それは大きなアニメの缶バッチで、佐久間が限定の
レア品なんだと言っていたのと同じもの。
「＿＿＿＿ っ、さ、くま…！」
目の前には1台のストレッチャー。
布が全体に被せられていて、
右手首のタッグは ＿＿＿＿ 黒。
「な、まって、いやや、なあ、」
「康二っ」
「あの、色分け、だって、黒って、なあ！」
康二はとうとう立っていられなくなって
俺の腕にしがみつく形で、へたりこんだ。
佐久間は、番組撮影だったじゃん。
他の共演者だっていたはずなのに。
なら、他の人だって、運ばれてるはず。
1人で、運ばれるなんて、おかしいだろ。
「阿部ちゃん、」
目黒が俺の肩を引く。
でも、もし、休憩中だとしたら？
自分の楽屋に帰ったり、外に出たとしたら。
もしかしたら、共演者の方が違う病院だとしたら。
こんなに大勢の人が運ばれていて
複数人の関係者を見つける方が難しい。
「めめ、これ、佐久間のと、同じなんだ」
「…は？」
「…っ、レアだって、言って、た」
レアだという缶バッチは、真ん中でひしゃげてる。
少し端の方は割れてしまっていて、
その時の衝撃を物語っていた。
1歩、2歩、とそれに近付く。
布の端に置いてある鞄。
「めめっ、」
俺も、立っていられなくなって、床に座り込む。
せり上がってくる何かに、思わず口元を押さえた。
「大丈夫ですか！？」
「すみませんっ、怪我は、ないんです…！」
「これ、使ってもらって大丈夫です！」
看護師さんらしき人がめめに袋を渡す。
じゃあ、と行くのをめめが引き止めた。
「あのっ！！！！
…あの、人、知り合い、かもしれないんです」
「…お知り合い？」
めめの手も、震えてる。
「鞄が、同じなんです」
アニメの絵が描かれた、トートバッグ。
新しい俺の嫁って笑う佐久間を思い出す。
「ご確認、お願いします」
ガヤガヤとした音が随分遠い。
自分の呼吸音と心臓の音だけがやけ大きく聞こえる。
「嫌やっ、なあ、嫌やって！嫌や！！」
一際大きく叫んだ康二が地面に伏せて泣き出す。
阿部ちゃん、と呼ぶめめを康二の元へと押し
何とか震える足腰を立たせた。
1歩が、重たくて、辛い。
布が、捲られる。
康二の悲鳴が、後ろで聞こえた。
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みさ(プロフ) - yuuka9976さん» コメントありがとうございます！泣ける、と思ってのテッシュのご用意とても嬉しいです。まだ表現が上手く出来ずに悩んでいることもあるので、少しでも感情が動いた作品が作れているのであればとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2022年9月28日 13時) (
レス) id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
yuuka9976(プロフ) - 泣ける作品ですね。。ティッシュ用意しなきゃみれなくりそうです。楽しみにしてますね！！ (2022年9月27日 7時) (レス) @page31 id: 14f1286f8c (このIDを非表示/違反報告)
みさ(プロフ) - ユキトさん» コメントありがとうございます！タオルやティッシュのご用意とっても嬉しいです！笑 誰かの心が少しでも動いてくれるような作品をかけて嬉しいです。まだまだ続きますが、ぜひ最後までタオルと共にお付き合いいただけると嬉しいです！よろしくお願いします！ (2022年9月15日 9時) (レス) id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 涙なしには読めないんでタオル用意しました←ティッシュ一箱使い切った人 (2022年9月14日 16時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 一気見しました。凄いラウの弱い部分に共感したと同時にメンバーの言葉に励まされた作品でした。応援してます！ (2022年9月14日 16時) (レス) @page5 id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みさ | 作成日時：2022年9月14日 1時
