14話 終わりの始まり＊ 赤 ページ28
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今日も、歌声が聞こえる。
昔からずっと聞きなれた翔太の声と、
まだあどけなさが残るラウールの声。
どちらも特徴的な歌声だけど、聞いていて心地いい。
最近は、この空間で料理をすることが
密かな楽しみとリフレッシュになっている。
今日は、GRATITUDE。
翔太とラウールは偶然にもサビの掛け合いが
同じパートじゃないから、
それぞれの覚えている旋律で歌っても
とっても心地いいメロディになる。
テンポがズレても、音がズレても
翔太が上手く合わせてるのか
それすらも心地良さに変わってしまう。
ここにいると、感じる。
ラウールの、必死の努力が。
「んふふ、やっぱしょっぴーとお歌、楽しいね」
「ならよかったよ。
心配そうな顔して時々こっちみて来るけど、
ラウールが思ってるよりズレてないよ、合ってる」
「えっ、ほんとぉ？よかった！」
聞こにくくなって初めて歌ったイチバンボシ。
聞こえなくなってしまってから歌ったオレンジKiss。
今ではもうすっかり、何の違和感もなくなったけど
きっと最初は翔太もラウールも
何回も何回も歌って聞いてを繰り返したんだろう。
「涼太も時々鼻歌で参加してるし」
「おっと、バレてた？」
「バレバレだよ」
メトロノームに合わせて、
翔太の歌声を出来るだけ追いかけて、
聞こえないところは自分の声を微調整して
少しづつ、少しづつ合わせていく。
「僕も舘さんの鼻歌聞きたいなあ」
きっと途方もない道のりなんだろう。
「…また今度、聞かせてあげるよ。
だから、また楽しい歌声、期待してるね」
どれだけ大変か、どれだけ辛いか。
奥歯噛み締めて堪えてしまうお前は、
そんなこと少しだって滲ませないのだけど。
「やったぁ！ひひっ、また歌うよ」
そんなお前が、笑えてたら良いなって
聞こえなくなるよりも、ずっと前から思ってるよ。
「楽しみにしてる」
「うん！！あ、今日は何するの？なんか手伝おっか」
「今日は、たまには和を、と思って
メインは肉じゃがにしようと思ってね。
じゃがいも、剥いてくれる？」
「やったぁ！やるやる！」
ラウールが俺に触れられるくらいの距離に立つ。
背は随分高くなって、髪も伸びて、
大人の色気が出ているのに
じゃがいもとピーラーを持って、笑う姿は
15歳の時に見た、あのころと何ら変わっていない。
「んじゃあ俺は、味見係な」
「働かざる者食うべからずだよ！！」
そんなあどけない顔も、愛しくて堪らない。
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みさ(プロフ) - yuuka9976さん» コメントありがとうございます！泣ける、と思ってのテッシュのご用意とても嬉しいです。まだ表現が上手く出来ずに悩んでいることもあるので、少しでも感情が動いた作品が作れているのであればとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2022年9月28日 13時) (
レス) id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
yuuka9976(プロフ) - 泣ける作品ですね。。ティッシュ用意しなきゃみれなくりそうです。楽しみにしてますね！！ (2022年9月27日 7時) (レス) @page31 id: 14f1286f8c (このIDを非表示/違反報告)
みさ(プロフ) - ユキトさん» コメントありがとうございます！タオルやティッシュのご用意とっても嬉しいです！笑 誰かの心が少しでも動いてくれるような作品をかけて嬉しいです。まだまだ続きますが、ぜひ最後までタオルと共にお付き合いいただけると嬉しいです！よろしくお願いします！ (2022年9月15日 9時) (レス) id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 涙なしには読めないんでタオル用意しました←ティッシュ一箱使い切った人 (2022年9月14日 16時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 一気見しました。凄いラウの弱い部分に共感したと同時にメンバーの言葉に励まされた作品でした。応援してます！ (2022年9月14日 16時) (レス) @page5 id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みさ | 作成日時：2022年9月14日 1時
