それでも明日は

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「舘さん…」

「出来なくても、いい。
でも、出来るように支えたいから」

「かっこいいなぁ、もう」

「バランスだよ、バランス。
俺みたいな意見ばっかりだと、
引けなくなっちゃうこともあるから、
ふっかの役割も大事なんだよ」

「ありがとう。
…じゃ、でも、俺も、かっこいいとこ見せよかな」



突然何かと思ったら、
いつの間にか衣装に着替えたふっかが、舞台に上がった。
まだ着替えていない3人を舞台からはけさせ、
着替えるように促し、ワンマンライブなんだから、と
康二と佐久間もおろした。

何も聞かされてない5人も、俺も、
何をするつもりなのかさっぱりわからない。



「どーもーっ、深澤 辰哉です！
みんな、話長いわって思ってない？ごめんね。
ちょっと、うちの末っ子の調子が悪くてね...
黙ってるって選択肢もあったんだけど、
やっぱりみんなには知ってて欲しくて、話します。

きっと俺達はこっから、何度もこうして
ライブをやらせてもらう機会があると思うのね。
その度に万全の状態じゃ、ないかもしれない。

俺達はプロだし、アイドルだから、
それを隠して舞台にたち続けるって選択することも
勿論あって、あの子もそのつもりだったの」



ああ、そうやってお前はラウールを守るんだね。



「ただ、それが出来ないくらいのことと闘って、
それでも踏ん張ろうって、出るって頑張ってるの。
お金払ってるし、時間も使ってるよね。
多分嫌な思いする子もいるんだと思う。

でも、ごめんね。

俺らは、9人でSnowManだから。家族だから。
どうか、見守っていてください。
あの子から、この場所を奪わないでやってください」



どこからとも無く拍手が始まり、
あっという間に揺れるほどの歓声に変わった。
頑張れって声が、沢山聞こえてくる。



「ありがとう。
構成が少し変わっちゃうかもしれない、
でも精一杯、やり遂げるから、よろしくお願いします！」



ふっか。
ふっかもめちゃくちゃ、かっこいいじゃん。

俺には出来ない、ふっかなりの守り方。



「館さんっ！！！手伝って！！」



照に背負われたラウールは、
とてもじゃないけど立てそうになかった。
それでもさっきよりはマシなのか、
少しの受け答えと、服の脱ぎ着は自分でできている。



「ラウール、俺の声、聞こえる？」



本当はバタついてるだろうに、
ラウールの耳のために極力静かに
遠いところで動いてくれるスタッフのみんな。
静かな空間に、俺達2人の意思。

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