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「上手だね、ちゃんと息できてる。
しんどくない？十分吸えてるから、吐いて吐いて」
息が荒くなるラウールに、ふっかが声を掛け続ける。
照も俺も何も出来なくて、ただ立ち尽くすばかり。
もう、曲が終盤に差し掛かった。
あと5分、こんな時に限って時間が早く感じる。
「ん、じょーずじょーず。
ラウ、次の、曲、お休みにしよっか、お休み」
「や、だっ、やだっ、」
「嫌だね、そうだね。
でも、このままじゃ、出られないよね？
一旦、一旦お休みして、次に、備えよ？」
そう。こうなっても尚、
ライブを続けたいのには理由があった。
1つは、ファンのみんなの為。
もう1つは、ラウールが絶対やり遂げたいんだと
初めのミーティングで言ったからだ。
出来ないことが増えたけど、
ライブが出来たらなんでも出来る気がするって
そう思えるからと、言っていたから。
簡単に、諦めさせることなんて出来なかった。
「や、やだ、」
「ラウール、今、どんな音が聞こえるの？」
額に張り付く前髪をかきあげ、汗を拭いて問う。
「おと、なんか、きーんって、
なんか、ひっかく、ひっかくみたいな、音、」
鉄や黒板を引っ掻くような音を想像するとゾッとした。
あんなものが鳴り続けるなんて拷問だ。
「でも、でたいっ、やめたく、ないっ、
ね、おねがい、おねがいっ、でたい、やりたい…！」
「俺、ちょっと行ってくるね」
「えっ、舘さん！」
次の曲は、2曲目に使った椅子に座っての
パフォーマンスに演出を切り替える。
衣装のジャケットとサスペンダーは取って、
少しでも体の締め付けがないようにする。
翔太の使ってたサングラス借りて、
視覚情報を少しでも減らすことにもしてみた。
照明は少し落とし、
落ち着きやすいと言われる青に変更。
バックのオーケストラ演奏も、
少し音を抑えてもらうように伝えてもらった。
むちゃくちゃな要望にも関わらず、
分かりましたと全力で動き始めてくれたスタッフ。
本当に感謝以外言葉が出てこない。
MCも後半に差し掛かったところで、
もう1度康二と佐久間の声が聞こえてきた。
どうやら事情は伝わったようで、
上手く場を伸ばしてくれている。
「舘さんっ」
「ふっか。ラウールは？」
「照が連れてくる」
「了解。行けそう？」
「や、正直厳しい…」
「とりあえず椅子使う。
座ってなら、まだマシでしょ。
照明も音も落とすし、サングラスも準備OK」
支える、最大限の準備は出来た。
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みさ(プロフ) - yuuka9976さん» ありがとうございます！感情が動いてくださったことが嬉しいです。これからも頑張りますのでぜひ、よろしくお願いします！ (2022年8月26日 19時) (
レス) id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
みさ(プロフ) - 名無し71262号さん» ありがとうございます！のんびりにはなってしまうかもしれませんが、頑張りますのでよろしくお願いします！ (2022年8月26日 19時) (レス) id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
yuuka9976(プロフ) - 続き楽しみにしてます。読んでいて涙が止まらなくなりました。 (2022年8月25日 11時) (レス) id: 14f1286f8c (このIDを非表示/違反報告)
名無し71262号(プロフ) - 続き楽しみにしています (2022年8月25日 10時) (レス) id: 2ea78d0701 (このIDを非表示/違反報告)
みさ(プロフ) - ラウールの脚さん» コメントありがとうございます！更新スペースはまちまちでお待たせすることもあるかもしれませんが、今後とも是非楽しんでいただけると幸いです！よろしくお願いします(*^^*) (2022年8月24日 23時) (レス) id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みさ | 作成日時：2022年8月23日 20時
