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「呼ぶっ…!何回でも!呼ぶ!!
何回でもっ、何十回でも、何百回でも…!
ずっと、ずっと言い続ける!!!」




_ そしたら、僕は、何度だって頑張れると思うから。





その優しい言葉に、不意に泣きそうになった。
ふわっと雪のように溶けていくはずの言葉が、
煌めきだけを残して、優しく心に降り積もっていく。

形に残らない言葉が、確かに音となって
心の奥底にある哀しみを包み込んだ。



「えぇーっ、そんな泣かないでよ!!
ふっかさん!!!めめ!!!めめが泣いた!!!
やだぁ、僕がいじめたみたいになっちゃう」

「おーおー、どしたどした。
何?お前泣かしちゃったの?ダメだよー?いじめちゃ」

「いじめてないってばー!!もー!!」



目を覆って俯いてしまった背中を優しく撫でる。
きっと役を演じていっぱいいっぱいになってしまった。
心優しいめめのことだから、役を演じていると
彼の世界に入ってしまって。
その彼の世界を、ラウと重ねてしまったから、
哀しみに呑み込まれてしまったんだろう。

不安はいつまでも消えることはない。
明日が必ずやってくるとは限らない。
でも、どれだけ哀しみに暮れ、泣いて、叫んでも
それでも明日はやってきてしまうから。

努力で乗り越えられない壁がやってきたら
大切に積み上げてきたものが見えなくなったら
隣にいる大切な人がいなくなってしまったら。


そんな時俺達は、一体どうするんだろう。



「…なんだっけ、41回?」



迷子の心をそっと誘うように、ラウが笑う。



「何が?」

「ほら、月まで」


「…42回な」



紙を42回、折り重ねれば月まで届くらしい。
それそれ、と子どものように笑った。



「あんな薄い紙ですら42回折れば月に届くんだから、
僕達が42枚アルバム出したら、太陽に届くよ。
…いや、太陽じゃ甘いなぁ、宇宙の果て!遠くまで!」




凍りついた心に、太陽を。




「42回もアルバム出したら、1年に1枚でも
俺何色のちゃんちゃんこ着る羽目になる?」

「僕は赤色?みんなしわしわだね。
きっと耳も遠くなってる。手話やっててよかったね」

「ほんとよ、イヤモニが補聴器代わりになっちゃう」



そこから晩御飯の時間になるまで、
42枚目のタイトルについて盛り上がった。
きゃはって、高い声が何度も響く。

いつも大きい声で笑うはずのめめは、少し静かに。
なんだかラウの声を少しでも聞き逃さないように
するみたいに笑ってた。

きっと彼の世界が、そこにはあった。

.→←想いを紡ぐ



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そら(プロフ) - みささん» そうなんですね!こちらこそいつも素敵なお話ありがとうございます!!これからも頑張ってください! (11月4日 9時) (レス) @page5 id: 288b7a7513 (このIDを非表示/違反報告)
みさ(プロフ) - そらさん» コメントありがとうございます!いえ!男性の方であってますよ!僕や俺などの方もいますが、敢えて丁寧で中性的なイメージを持たせるために一人称を私にしています。なのでバッチリ正解です!いつも読んでくださってありがとうございます!これからも宜しくお願いします (11月3日 19時) (レス) id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - あのお医者さんって女の方だったんですね!!恥ずかしながら今気づきました、、🤦🏻‍♀️ (11月3日 18時) (レス) @page5 id: 288b7a7513 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みさ | 作成日時:2023年10月30日 13時

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