想いを紡ぐ ページ9
それでも明日はの話。
聞こえなくなった青年を演じた彼と、
沢山の音を失った彼のお話。
＊Tatuya.F side...
「…な、ラウール」
「んー？なぁにー？」
「声、」
「ん？」
「声、覚えてる？」
ドラマ良かったね、なんて話をしていると思ったら
急にめめがそんなことを言い出した。
突拍子もない、なんてことはない。
めめが演じたドラマの役は、聞こえなくなった青年。
トレンドに入り、沢山のメディアに取り上げられ
沢山の人に届くほど素敵なドラマ。
でも、その青年はめめにとって遠い存在じゃない。
だからこそ、思うところがあったんだろう。
「…急だなぁ〜、なぁに、役に引っ張られた？」
「そうかも」
「めめ、若干そういうところあるよねぇ〜…
……んー…覚えてるよ、うん、ちゃんと覚えてる。
完全に聞こえなくなったわけじゃないし、
自分の声も何となくはわかるから。
だから、こうやって声でも話すでしょ？」
青年は、声を出さない。
自分の声が聞こえないから、届いてるか怖くなると。
でも、ラウは声で話すことの方が多い。
手話と声、どちらも使って伝えてくれる。
ドラマで言うと、青年を思う彼女のように。
そして、俺達もまたどちらも使って伝えている。
「そ、っか…そうだよなぁ…うん、そうだよな」
聞こえなくなった彼と、沢山の音を失ったラウ。
そのどちらの世界も、俺達には想像しかできない。
こうだろうな、そうかもしれない。
どんだけ頑張ったって、理解することなんて出来ない。
だって、俺達は聞こえるんだから。
「…ねぇ、めめ」
ラウはテレビを切って、めめの手を優しく握った。
「いつか、思い出せなくなる日がくるかもしれない。
それこそ、しょっぴーがどんだけ頑張ってくれても、
いつかは歌えなくなる日がくるかもしれない」
「…うん」
「寂しいし、苦しいし…泣いちゃうと思う。
彼みたいに、話したくないって思うかもしれない」
もし、そんな日が来てしまったら。
俺達は一体どうするんだろう。
どうするのが正解だって。
ラウが幸せな道だって思って、選ぶんだろう。
「離れたいって、思ってしまうかもしれない」
そう、願ってしまったら。
「でも、その時はさ、」
音のない言葉が、確かな想いを紡ぐ。
＿ 僕の名前を、何回も呼んでよ。
それで言って、お前はSnowManだろって。
ずっとそばに居るって、何回も。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 175人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そら(プロフ) - みささん» そうなんですね！こちらこそいつも素敵なお話ありがとうございます！！これからも頑張ってください！ (11月4日 9時) (
レス) @page5 id: 288b7a7513 (このIDを非表示/違反報告)
みさ(プロフ) - そらさん» コメントありがとうございます！いえ！男性の方であってますよ！僕や俺などの方もいますが、敢えて丁寧で中性的なイメージを持たせるために一人称を私にしています。なのでバッチリ正解です！いつも読んでくださってありがとうございます！これからも宜しくお願いします (11月3日 19時) (レス) id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - あのお医者さんって女の方だったんですね！！恥ずかしながら今気づきました、、🤦🏻♀️ (11月3日 18時) (レス) @page5 id: 288b7a7513 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みさ | 作成日時：2023年10月30日 13時
