大切な人 ページ5
それでも明日はの話。
＊ Doctor side...
私の話を聞いてくれる？
少し前から…少し前って言っても、もう10年の付き合い。
10年前、彼が救急車に乗って運ばれてきて
症状から担当は私だろうって救急から引き継いで。
そしたら、その子はとても有名な子だった。
人前に立つのが仕事で。
音と切っても切り離せないような子。
まだとっても若くて。
今まで何人も見てきたけれど、やっぱり何度
経験しても慣れないなって思った。
悲しみの淵に立たされる苦しみは、いつ見ても辛い。
彼には沢山抱えなきゃいけないものがあった。
1度受けた名声を手放すのは難しい。
「村上くん、…少しだけ話をしようか」
もう、これ以上の回復は見込めない。
そう判断し、話をした時、彼は泣きも喚きもせずに、
ただ静かに「わかりました」と微笑んだだけだった。
彼の受診はいつも最後だった。
午後の診察が終わってから、少し時間の余裕があるから
彼と沢山の話をした。
はじめは緊張して、ぽつぽつと小さなことしか
話してくれなかったけれど、少しずつ他の方の話が
出てくるようになってきた。
一応それなりに調べたから、全く分からないことは
なかったけれど、違う一面も聞くことが出来て
楽しかったなぁ。
ある日、警備員さんが受付の子に話しかけていた。
何があったのかと聞けば、毎日3人ほど男性が
外をうろついて、患者さんに時々声をかけてるらしい。
顔を見て直ぐに違うと分かれば謝ってくるし、
今の所特に大きな害はないけれど、一応と。
しばらく様子を見ていたんだけど、研修医の子が
「あれ、SnowManじゃないですか？」って
看護師の子に話していて点と点が繋がった。
案の定、村上くんに聞けばそうだと。
「通ってもらわなくていいの？探してるみたいだよ」
「…今は、会いたく、なくて…
会ったら、戻りたいって…そう、思っちゃいそうで…」
私達医師は、出来るだけ患者さんの希望に寄り添い
治療を進めて、出来ればここを卒業してほしい。
でも、そうもいかない人も勿論いるし、
彼の場合は長い付き合いになることは明らかだった。
多くは聞かない。
聞いて欲しくないこともわかっていた。
ただ、雨の日も、雪の日も彼のことを探す彼等を
見ていると、どうかみんなが穏やかに過ごせますようと
願うばかりだった。
「先生！…村上さんの…その…」
「…来たんだね」
そして、その日は突然訪れた。
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そら(プロフ) - みささん» そうなんですね！こちらこそいつも素敵なお話ありがとうございます！！これからも頑張ってください！ (11月4日 9時) (
レス) @page5 id: 288b7a7513 (このIDを非表示/違反報告)
みさ(プロフ) - そらさん» コメントありがとうございます！いえ！男性の方であってますよ！僕や俺などの方もいますが、敢えて丁寧で中性的なイメージを持たせるために一人称を私にしています。なのでバッチリ正解です！いつも読んでくださってありがとうございます！これからも宜しくお願いします (11月3日 19時) (レス) id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - あのお医者さんって女の方だったんですね！！恥ずかしながら今気づきました、、🤦🏻♀️ (11月3日 18時) (レス) @page5 id: 288b7a7513 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みさ | 作成日時：2023年10月30日 13時
