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「言えてたよ、助けてって。
...聞こえたよ、僕にも。
だから、僕達は直ぐに先生を呼べたし、君の大切な人は
直ぐに治療を受けられて、大丈夫だったんだよ」
何も聞いてないから、分からない。
どんなことがあったのか、その時どうしてたのか。
分からないことばかりだけど、分かることもある。
きっとラウールは、必死に助けを呼んでくれた。
大きなことがあると、それで記憶を塗り潰して
沢山覚えていたいものを置いていってしまう。
不安でたまらなかっただろう。
ふっかのことも分からなかったかもしれない。
自分が今病院にいるってことも。
もしかしたら、自分のことも。
それでも、助けを呼んでくれた。
目の前にいるふっかが、自分の大切な人だって
そう信じてくれた。
「君は、ちゃんと助けを呼んだ。
君の大切な人も、ちゃんと大丈夫だった。
...君のこと、知ってるよ。
思い出せない辛さも、少しだけ分かるよ。
自分ってなんでこうなんだろって。
...無力だなって、思うこともある」
青さんが、白さんの背中をそっと撫でた。
俺もテレビでしか見た事がないけれど、
彼等は数年前に、大きく深い悲しみに向き合っていた。
頬を優しく挟まれ、真っ直ぐに向かい合うラウールに
彼の言葉が全部届くかは分からない。
「悔しいし、辛いし、苦しいし、悲しい。
そのままでいいんだよ。全部抱えたままでいい。
君の大切な人が、絶対そばに居るから。
...だから、これからも、生きよう。
永遠って、あるんでしょう？
僕もそれを信じてる。
...永遠の思いを信じる僕達は、強い」
でも、ラウールは確かに頷いたんだ。
また、泣き始めた。
でも今度は、さっきみたいに自分を責めるような
悲しい泣き方じゃなくて、安心したって感じの。
子どもみたいな泣き方だった。
わあわあと廊下に響く声に、少しだけほっとして
落ち着くまで俺と青さんは背中を撫で続け、
白さんはずっと手を握り続けてくれた。
「...ぅわ、寝た。子どもみてェ」
「ん？」
「子ども、みたいじゃね？」
「...自分も同じでしょ」
「お前に言われたくねーよ」
「ぁ、本当に、ご迷惑おかけして...」
「いや迷惑かかってねェから、謝ンな。
お前が謝ったら、こいつも悪くなンだろ」
「...ありがとう、ございました...」
俺に話す時すらも自然と出てくる手話に、
この人達の優しい世界の端っこを見た気がした。
全部は、分からない。
だから、ほんの一部だけ。
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そら(プロフ) - みささん» そうなんですね！こちらこそいつも素敵なお話ありがとうございます！！これからも頑張ってください！ (11月4日 9時) (
レス) @page5 id: 288b7a7513 (このIDを非表示/違反報告)
みさ(プロフ) - そらさん» コメントありがとうございます！いえ！男性の方であってますよ！僕や俺などの方もいますが、敢えて丁寧で中性的なイメージを持たせるために一人称を私にしています。なのでバッチリ正解です！いつも読んでくださってありがとうございます！これからも宜しくお願いします (11月3日 19時) (レス) id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - あのお医者さんって女の方だったんですね！！恥ずかしながら今気づきました、、🤦🏻♀️ (11月3日 18時) (レス) @page5 id: 288b7a7513 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みさ | 作成日時：2023年10月30日 13時
