重ならない世界の先で

永遠を描くなら ページ1

それでも明日はの世界で。



＊Syota.W side...



「ねぇ、しょっぴー」

「ん？」


「永遠って、あると思う？」

「…永遠？」



人差し指と親指を並行にして、前に出す。
"永遠"とか"永久"の手話。



「そ、永遠」

「…あんの？」

「質問で返さないでよ」



永遠のものってなんかあるっけ、と
頭の中に思い浮かべてみようとするけど出てこない。
人間だって永遠じゃないし、SnowManだって。



「…ないんじゃね、あんま分かんない」

「ね、僕もそう思ってた」

「思ってた？」

「知らない？最近ね、よくテレビで見かけるの」



ほら、と見せられた画面の中には確かに最近よく見る
今をときめくアイドルの姿。
9人組だとか、自分達に重なることが結構あったな
なんて思い出した。



「あれ、こいつ…」

「そ、病気、記憶が無くなる」



ドキュメンタリーを見た。
1話を佐久間が見てて、気が付けば全員で見てた。
なんやかんやでみんなで泣いてた気もする。



「枯れない花、だっけ」

「うん、でね、最近これ見てさ、」




『僕、永遠ってあると思うんです。
忘れていっちゃう僕が言う？って感じですけど…

でも、永遠がなきゃ、僕はここにいないから。

この記憶や想いは、ずっと続く。
みんなの中にも、僕の中にも在り続ける。
そう信じてるからこそ、僕は僕でいられるから』




「これ…、俺も、見た」



確か最近、ライブもやってた。
インライもしてて、なんか応援したくなる
そんな気持ちにさせられるグループだった。



「どんだけ、難しいんだろって。
どんだけ、大変なんだろって思った。
…忘れるのも苦しいけど、忘れられるのも苦しいよね」



記憶をなくした先の苦しさを、ラウールは知ってる。

目に見える永遠がないことも。
命が重たくて、でも守るには儚すぎることも。
守れなかった明日を今日に変える難しさも。

あの日、重ならない記憶にどれだけ心をえぐられたか。
戻ったからよかったものの、戻るかどうかも
分からないものを抱えるのは、きっと辛い。


画面の向こうで、彼が言った。




『他の道？＿ 選べるなら、選んでました。
俺達だって、デビューした時のままでいたかった。
俺達自身も望んだ結末じゃありませんでしたよ』




多分、俺達もそう。

他の道があるのなら、迷わず選んでた。
失ったものの良さに目を向けて、前を進むなんて
そんなに簡単なことじゃない。

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