秘密が多い人 ページ8
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「花火大会行きたかったわ」
『来ればいいじゃん、』
「行けない。絶対抜けられないバイトが入ってるから」
遠くを見つめながら少し切なそうに言ってるけど、私だって毎年一緒に花火見てたのにさみしい。
「ってことでこれしない？」
そういいながら小さな花火セットを持っていた。
買ってきたんだーってにこにこしながら、お庭にろうそくをセットする。
なんだかんだで今年初花火でテンションが少し上がった。
この人は女を喜ばせる天才なのか？
花火をバラしながら「ほら」と私に花火を渡してくる。
『アルバイト忙しいんだね』
「んー。まあ不定期といえば不定期なんだけど。失敗できないから練習とかもめちゃくちゃ頑張らないといけないからね」
『失敗できないの？…サーカスとか？』
ぶはって思いっきりふきだしたたつやくんを見てサーカスではないことは分かった。
『じゃあ食べ物屋さんのメニュー覚えるのが難しいとか？』
「ふはっ、そーそー。まあそんな感じかな」
本当のことはいつも教えてくれない。
そんな感じ、で話をまとめて確信ついたことは何も言わない。
秘密がおおい人だ。
ぱちぱちと小さな花火がたくさんで、その火に照らされてたつやくんの顔もよく見える。
そう、私は聞きたいことがあってたつやくんに電話をかけようとしてたんだ。
『・・・あやちゃんにも教えた？』
「んー？なにが？」
『電話番号、？』
その時しゅっと二人がもっていた花火の火が消えてしまって、急に暗くなる。
少し離れたところにろうそくが見えて、花火を取りに行こうとしたその時、手をぱしっとつかまれた。
え、うそ。手？
たつやくんの、手？
私、男の人と手つかまれるのってお父さんぐらいしかいなかったのに、手？！
『え、あの、』
「気になる？」
私今日命日なの？
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作者名：美桜
| 作成日時：2023年5月26日 12時
