無意識とは罪な男 ページ7
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案の定、たつやくんは町のみんなの人気者で引っ張りダコになってしまって私はたつやくんの隣にはいられなかった。
それがわかっていて帰ってきてすぐ私のところにきてくれたんじゃないかと思う。
皆で遊んでるときもあやちゃんが常に横をキープしていて、21時すぎると中学生はさっさと帰りなさいと追い出されて。
『はぁ。』
もうすぐ帰ってしまう、そう思って過ごしていたのに、ついにそれが明日になってしまった。
短かった。
縁側にごろんってしてたたつやくんを思い出しながら私もごろんしてみるけど西日が暑い。
この夕日が沈んだらもう夜だ。
別に何を話したいわけでもなかったけど、たつやくんの声が聴きたくなった。
毎年、夏が来るたびにわがままになっていく。
たつやくんの声が聴きたくて、もっとそばにいてほしくて、私が好きという気持ちを一人だけ前に飛び出したらどうなるんだろう。
あやちゃんだって一人飛び出してるじゃん。
この気持ちになんとなく気づいてほしくて、無意識に小機を手に取り数字を押してしまう。
受話器を握りしめながら、さいごの１つがおせずに畳に体育座りをして、の繰り返しであっという間に夜になった。
縁側にごろんしながら、受話器を見つめているとすぐ近くで求めていた人の声がして、飛び起きる。
「ねぇ、さっきから何やってんの？」
『へっ！』
「俺さぁずっとここにいたんだけど何してたの？」
『い、いつから？』
くすくす笑いながらこっちを見ている彼は間違いなくたつやくんで。
「それ俺の番号でしょ？俺の声がききたかった？」
『な、なっ…！』
おもしれーとくすくす笑って私を見てる。
恥ずかしくて涙が出そうで、どうすればいいかわからなくなった。
「そんな目ぱちぱちしなくていーよ？」
私の髪の毛をなでながらサラサラだなーってずっとさわさわ触ってくる。
心地よくて、少し落ち着いた。
『なんでここに？』
「んー？ちょっと疲れてさ。ばあちゃんちにいたら必ず誰か来るし、Aは会いにきてくれないし。」
また私の顔を覗き込んで笑ってる。
あー、絶対爆モテするやつやん。
そうやって女子の心わしづかみにしてるんでしょ。
無意識なの？こわ。
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作者名：美桜
| 作成日時：2023年5月26日 12時
