ちゅーしよっか ページ35
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『1年に1回会えるか会えないかもわからないけど、たつやくんのことを思い出す日なんかないのは
毎日たつやくんのことを考えてるからだってわかったの。
だからわたし、すっごくたつやくんのこと好きなんだ
大切な人が目の前からいなくなっちゃうこと考えてたら涙が出ちゃった』
持っていた缶チューハイをぐびっと飲んで独り言おしまい、と笑って誤魔化したのに、私の体はあっという間にたつやくんの腕の中に吸い込まれてしまった。
『っわ、』
「ばーちゃんのこと、Aがいてくれたから助かったと思ってる。本当にありがとう。」
『うん、』
「でさ、それって本当に独り言でいいの?」
後ろからぎゅうって抱きしめられて、私の肩にたつやくんが顎を乗せていつもよりも低いけど、優しい声で話しかけられる。
あー、本当にこの人は罪深い。
『っ、うん。ひとりごと。だから何も言わないで、返事とかしないで。私はたつやくんのお仕事の邪魔したくないし、疲れたり傷ついたりしたらここに帰ってきてくれたらそれでいいから、』
「・・・疲れたり傷ついたりって?」
優しく小声で喋るから耳がくすぐったくて、たつやくんの体温と私の体温が同じになりそうで、でも私の方が絶対どきどきしてるし熱いし、恥ずかしくて苦しい。
ついに言ってしまった。
『おばあちゃんが言ってたから。だから私もたつやくんの居場所を守るために、ここでおばあちゃんとたつやくんの帰りをまって、っ、!』
視界がぐわんと歪み、反転した。
目の前にはテレビ、ではなく切ないような顔をしたたつやくんと天井があって。
あー押し倒されたんだ。
そんなこと人生でされたこもないから恥ずかしくて、でももう成人を超えてるからこの先の展開なんて安易に想像できてしまって勝手に予測して苦しくて涙が溢れてきちゃうの、
「A・・・ちゅーしよっか。てか俺がしたい、」
『・・・っ!、』
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作者名:美桜 | 作成日時:2023年5月26日 12時