スリル ページ16
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先生の大きな声が聞こえる。
止まりなさいだとか、廊下を走るなだとか。
ドキドキした。すごく。
「A頑張れ！走れ走れ！」
走れと言いながら、私の補助バックを左肩にかけながら私の手を握って走り出す。
すごく早く、早く早く。
風を切って、ハラハラしたけどすごく楽しくて。
「A、靴履いたら校門までダッシュな？そこで待ち合わせ！」
『うんっ！』
あーこれが青春なのかと。
勝手に侵入した辰哉くんと一緒に廊下を走って逃げて、
先生は追いかけるのを諦めたみたいで教室からこっちを見てる。
先生ごめんねって心の中で思いながら、先生に向かって手を振る。
気をつけろよーなんて声も聞こえてきて、あの板書を1人で消させてると思うと申し訳ないけど、校門の下でしゃがんでるポンパヘアーの愛しい人が待っていてくれた。
うー苦しい。
好きだなぁっ
「やっべーまじ楽しい。こういうの憧れてたんだよずっと。」
『男子校なの？』
「え？いや。・・・俺モテモテだから1人だけ特別とかできないじゃん？」
『もう、冗談に聞こえないからやめて』
立ち上がった辰哉くんとの身長差にきゅんとする。
いや今言ったことは本当のことだきっと。
私を見下ろすイケメンにノックアウトする女子沢山いるんだろうな。
そんなのは最初からわかってる。
私が聞きたいのはさっきの続きであって、
『ねぇ、さっきの続き、』
「ん？あ、ごめんごめん。・・・ん。」
『へっ、！』
「へ？あ、違った？」
『ち、違う、わないです。』
さっきの話の続きが聞きたかったのに私の右手はあっという間に辰哉くんの左手に包まれてしまった。
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作者名：美桜
| 作成日時：2023年5月26日 12時
