微かな香り ページ12
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『え？補習？聞いてない！』
先生「言ってません。ただ、今しておかないと2学期がきつくなるから言ってるんだ」
美桜「A私はバイトのために学期末のテスト頑張ったからさ笑 ドンマイだよ！夏休み連絡するから補習さっさと終わらせて遊ぼうね」
辰哉くんが帰ってくるかもと期待して、わくわくしながら迎えた終業式にとんでもないことを言われ、夏休みになっても誰もいない教室でお勉強。
ついてなさすぎ。
いいもん。
もうさ今日の江川のおばあちゃんの家に帰ってお素麺食べながら辰哉くんのこと愚痴るって決めたんだもん。
窓を開けていると夏なのに意外と涼しい風が入ってくるし部活を頑張る人たちの声が聞こえてくる。
他校からサッカー部の練習試合に来てるのかな？
先生「じゃあ今日はここまで。明日は先生用事があるからまた来週からな」
『はぁーい』
そう言ってドアを閉めていったから、板書を終えたら消してあとは帰るだけなのになんだかもうやる気が出ない。
まだ1年生なのに補修とか私2年生になれるか問題。
板書もせずに涼しい風が吹く窓から見えたのはサッカー部と陸上部で、この暑い中走り回っててえらい。
みんな偉い本当に。
『はあーーー』
ぼーーっと外を見てた。
だから迫り寄ってくる足音に全く気づかなくて私の後ろに誰かが立ってるなんてことは全く知らなかったの。
風が止んで、窓から入ってくる風がなくなったからカーテンも揺れないし、このままじゃ蒸し豚になってしまう。
早く板書終わらせて江川のおばあちゃんちに行こう。
そう思って大きく背伸びをしたときに少しだけふわっと、ふわっといい匂いがした。
はっとして後ろを振り向くと今1番、どうしても会いたかった人がチュッパチャップスを舐めながらにこにこして立っていた。
『た、つやくん』
「もー何やってんの？家で待ってたのに。全然帰ってこないから迎えに来ちゃった」
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作者名：美桜
| 作成日時：2023年5月26日 12時
